涼宮ハルヒの憂鬱 第3話

以前からアニメ化を希望していたこの作品。京アニを製作につけるという最高の体制で実現したわけだが、それでも実際に見てみるまでは期待よりも不安の方が大きかった。原作最大の魅力が一人称である主人公の軽快な語り口にあり、それをアニメ化する際、どのように処理するべきか想像が出来なかったからだ。結局、その語りをそのまま使うという合理的な方法をとっているのだが、実際にこれをすると、本当ならば「アニメである必要が無い」と言われる恐れがあるはずだ。しかし、ここに来て京アニの尋常じゃない高い作画技術が意味を持ってくる。高技術アニメーションの魅力を存分に見せつける事で、主人公の発する膨大な台詞を支えきっているのだ。キャストの演技も絶妙で、どの面から見てもお得感を得られる作品になっている。このまま上手くまとめられればとんでもない作品になるだろう。
本来、作画にはあまりこだわりが無いのだが、この作品においては、つい作画の良さについて語りたくなってしまう。
例えば、3話のアバンにおける廊下でキョンに迫るハルヒキョンのATフィールドを突き破って近づき、下から見上げるハルヒと、なんとか距離を保とうとするキョンの二人の距離感は絶妙だ。キョンが感じている、ハルヒから空気を通じて伝わってくる体温を感じられそうだ。
他のお気に入りのシーンは、やはり最後の長門がお茶を入れて差し出す手つき。なんとも艶かしくて参った。この後の長門の台詞に繋がる作画として、この力のある映像がいかに重要か。アニメ化された事を、心の底から嬉しく思うシーンだった。