がくえんゆーとぴあ まなびストレート!

いやはや、今期は忙しくてまともにリアルタイムで追いついて見れないアニメが多い。
この作品もその一つだった。1話における感想は、少しべたついた演出で少し本腰を入れて見ないとついて行けないかも、という物。というか、きっと、べたついた演出だけが先に立ち、それ以上の「なにか」は絶対に描けないだろうと、たかをくくっていた、というのが本当。
だから、今、その誤りを凄く後悔している。これはすごいや。
この物語は「挫折と復活」の物語だ。毎回物語の中に挫折がある。1話では生徒会長への立候補、2話では生徒会室の掃除、3話では学校間懇親会、4話では友達同士のコミュニケーション、5・6話も同じ、そして7話では・・・
しかし、その挫折が毎回覆されていく。そのキーマンとなるのはまなびなのだが、彼女は実際には何も出来ない。奇跡的な事も一切起こらない。まなびが示すのは諦めない強い意志だけ。その意志によって周囲が巻き込まれて行って、何か奇跡的な事が起こりそうな予感を与えつづける。
面白いのが、5話以降のキーマンが、まなびから生徒会唯一の初期メンバーであるみかんに移っている事。まなびは奇跡そのものを起こすわけではないが、それでも彼女は「まなび星人」と呼ばれるように「超人」であり、実際には感情移入の対象ではない。この物語もまなびの物語では無く、実際にはみかんの物語と言える。まなび星人という超人がやってきて、それによって最悪の状態にいる普通の人間みかんが巻きこまれ、変わっていく物語。だから、他の生徒会メンバーはまなびの為に頑張るのでは無く、みかんの為にも頑張っている。
7話では今までのすべての事象の全肯定が行われ、そして、それを全否定するその話の中では覆らない大問題が発生する。
しかし、ここまで来ると、この大問題も当然あるべき問題であり、乗り越えるべき問題でもあり、そして、これまでに描かれたメンバーならば、かならず乗り越えられる問題であろうと信じる事が出来る。
彼女達の強みは、「物事を成す事」が成功では「無い」、という事だろう。実際には「物事に挫折する事」、そしてそれに「立ち向かう事」が彼女達の存在の証明であり、一つの勝利なのかもしれない。そんな事を思いながら見ていると、今後なにが起ころうとも安心して見ていられる。
そして、そういう人物像を作り得たこの物語そのものも、既に勝利しているのかもしれない。