最近、ネギま!を読むのが辛い

最近の「ネギま!」は、読んでいるとどうにも辛くなる。
その理由は、やはりキャラクターの辛すぎる境遇にあるだろう。
魔法世界に行ってから、ネギ君の串刺し描写に始まって、各クラスメイトの辛い状況が描かれ続けている。
ネギ君の場合は、まあ良かった。これは彼の望みが起した行動の結果としての不幸であり、それを受け止める心構えも出来ている。
しかし、クラスメイト達の描写は、どうにも嫌だ。例え、彼女達が自分自身で覚悟を決めて進んだ道だとしても、その根拠は好きなネギ君の為にある。どうしてそんな普通の女子中学生だった彼女達が、命の遣り取りが絡むような危険な状況に身を置かねばならないのか。
結局、その責任は全てネギ君に向かうだろう。物語の中ではネギ君はそれを充分受け止めて、思いっきり悩んでいる。
その悩み、辛さは、そのままネギ君に感情移入する読者の辛さになるのだ。
コタローが言う。「信じるのが仲間」だと。確かにそうかもしれない。けれども、信じることと、辛さを抱えることは別だ。ネギ君は今現在も、仲間を信じながら、同時に辛さを心に抱えているだろう。その辛さはやはり読者に伝わるのだ。
それに・・・
辛さを倍増する要因がもう一つあるのだ。
クラスメイト達の辛い境遇は、千雨の時も、亜子達の時も、「ネギま!」的オブラートに包もうというのか、エロチックなギャグ要素を絡ませている。その為、一見「ぬるい」辛い境遇にも感じるようになっている。
けれども、このエロギャグ要素が問題なのだ。
この手の不幸は、どうしても、読んでいるこちら側の嗜虐的な嗜好に本能的に働きかける。エロであれば、よりエロい状況を想像してしまう。また、この手の妄想は、エロ同人誌などで、今までに際限なく増幅されているのを見てきてもいる。妄想の引き出しに困る事はない。同人誌は同人誌。それを見る見ないは本人の自由かもしれない。しかし、それを連想させる描写が本編中に現れるのは、どうにも気分が悪くなる。内容的にも、触手怪物や奴隷奉公など、不幸、残忍を連想させる物ばかりだし。
例えば、194時間目で一番嫌なシーンはと言うと、仕事から帰ってきた夏美をアキラが出迎えるシーンだ。
この時、アキラはどもりながら「変なコトされなかった?」と夏美に聞く。この描写から、夏美が仕事に送り出される時、どんな修羅場があったのか?と妄想してしまう。アキラは元々他人を守る思考が強い人間のはずだ。それなのに、なぜ働いていたのは夏美なのだろう。ここで働かされるという事は、もしかしたら性的奉仕かもしれないではないか。当然、アキラはその事を意識に入れているからこそ、このような質問している。ここでアキラが夏美を助けるべく動けなかった理由は、彼女にそのような性的耐性がなかったからかもしれない。そして、夏美には耐性があったのかも。つまり、アキラは処女として動くことが出来ず、夏美は経験があった(もしくは弟がいるから耐性があったともとれる)から身代わりに立てた、と妄想することができる。その時のアキラの心中を想像するに、なんとも恐ろしいほどに辛い気持ちだっただろう。正に悪夢的なシチュエーションだ。
はっきり言って、「ネギま!」本編を見て、そんなクラスメイトの不幸で残忍な妄想などを、たとえエロが絡んでいたとしても連想したくない。ここに来て、原作の方から、この手の同人誌を見てしまった事へのしっぺ返しを受けるとは思わなかった。
ネギ君が合流していないクラスメイトは、まだ10人以上。このような描写は、これからもまだまだ続くのかもしれない。
そう思うと、どうにも欝になる。読み続けるのが辛いのだ。
次週も、そんな気持ちを抱きながら、マガジンのページをめくる事になるだろう。