実写版ネギま! 第3話 〜少し不審な、時間経過〜

今回は千雨のお当番回。千雨の印象深いエピソードを組み合わせて、オリジナルな展開でまとめている。千雨というキャラクターを一つ完結させるにちょうど良い物語だったのではないだろうか。
またここで、このシリーズの方向性が分かってきた。どうやら、ネギの魔法は、積極的に使う方針らしい。その魔法を各キャラの問題点解決の一助にする展開が基本になりそうな感じだ。原作ではネギの魔法をある意味否定する所から物語がまわり始めたのと逆の展開だ。(単行本1・2巻の頃、ネギの魔法は生徒に対して便利に使う事を否定され続け、戦う為に使う必要が出始めた3巻目以降物語も動き出した。)ただこれも、魔法を使ってネギと生徒が関係性を持つという、分かりやすい構図を作っているといえ、ありえる方針変更だろう。
ところで、気になるのが、たった第3話しか描いていないこの時点で、ネギが赴任してきてから既に数ヶ月も経っているという事。なぜ、これほどまでの時間経過が必要だったのだろうか。
一つには、現在のクラスの雰囲気がネギの存在によって生み出されたクラスだという事を明確にする意味合いがあるのだろう。原作では、実はネギの受け持っているクラスは「ネギのクラス」というよりも、「高畑のクラス」もしくは「クラスメイトによるクラス」という雰囲気が強かった。基本的にクラス替えの無い彼女達は、過ごしている時間が長いのでクラスメイトだけで完結していた。ネギは当初あくまで来訪者で、少しずつそんなクラスに馴染んでいったといえる。
しかし、実写版では、千雨の言葉によるとネギの存在によって、現在の自由奔放なクラスになりつつあるという。これはまあ、先生としてはかなり問題がありそうだが、これを卒業までにまとめていければ、本当の意味での「ネギのクラス」といえるのかもしれない。クライマックスに向けての目標がまた明確になったといえるだろう。
また、この時間経過については、もう一つの意味があるのかもしれない。この実写版ネギま!において、たった3話でしかないが、その各話の共通項として「過去の出来事が物語に絡んでくる」というものがありそうだ。それも全て、クラスメイトが泣いているシーンが描かれている。もしかしたら、この「過去へのこだわり」がこのシリーズの大きな要素なのかもしれない。
実写版のネギま!の副題には、もともと「パラレル」というものが付いていたはず。これはつまり、「IFの世界」を想定していると思われる。「もしあの時、泣かないで済んだ世界はどうなっているのか」という世界観だ。ネギま!は、「学園祭編」によって、「タイムトラベルもの」としての要素も強い。もしかしたら、物語の後半になると、タイムトラベルによって、時間を行き来するような展開になるのかもしれない。だからこそ、物語の時間経過もかなり早く行われているのではないだろうか。
オープニングのタイトルバックの筒状の流れは、結構よくあるタイムトラベル時の描写だ。あそこをネギとクラスメイトが通る時がくるのかもしれない。