魔法世界の「国」について

実は以前から気になっている事がある。
魔法世界における国家は、一体どうなっているのだろう。
というのも、少なくともオスティアは、小国ながらも以前は「エゥスペルタティア王国」という国だった。そして、現在は滅んでいるという。
で、214時間目の俯瞰図を見ると、そこには「総督府」なるものが存在しているのが気にかかる。「総督府」が置かれるという事は、総督にあたる者にそれだけの権限を与える必要がある規模の何がしかがある、つまり国家規模の都市と言えるのだろうが、実際には「国」では無い。つまり、どこかの帝国の占領地、といった事も考えられる。まあ、オスティアは魔法災害があった、戦争終結の記念碑的存在、などの特殊事情から、その様な形態をとっているだけかもしれないが。
しかし、やはり気になるのが、魔法世界において、国家と呼べるものの存在が、かなり希薄なように思うのだ。
唯一明確に「国」として提示されているのが「学術都市アリアドネー」。しかし、この都市の特殊性は、学術を優先する為には他国の法を一切受け付けないという辺りからも窺える。朝倉調査団から外れていたのも、その特殊性からだろう。
そして、それ以外に魔法世界で「国」を意識させるものが、出てきていないように思う。
朝倉調査団が世界一周をする時は、国境を越えるという意識が無いようだったし、ネギ達の活躍している拳闘大会の中継は「全国中継」でゆーな達のテンペにまで届いている。というか、オスティアで開かれる大会自体が「全国大会」と銘打っている。つまり、メガロメセンブリアを中心都市とした「北の古き民」(でいいんだよね)の主要都市群は、もしかしたら全て一つの国なのかもしれない、という感じがするのだ。
しかし、この魔法世界に来る前の夕映の情報によると「多数の国家が存在する」ともなっている。どうも雰囲気的に矛盾を感じる。実は、大都市のほとんどが巨大国家に組み込まれていて、辺境に小国が細々と存在するとかなのだろうか。
それに、少なくとも20年前にはウェスペルタティア王国などという古い国家があったのも事実。
そんな事を考えていると、20年前の大戦を「大分裂戦争」と名付け、世界融和の象徴としてナギを英雄に仕立て上げている、この魔法世界全体の空気が、どうにもキナ臭く感じる。
もしかしたら、今の魔法世界は、「大分裂戦争」を上手い道具にして、表面上は共和主義的に、しかし実際には世界を征服しようとしている勢力によって、既に支配されているのかもしれない。そして、それは案外「完全なる世界」という組織が形を変えたものだったりするのかも。
結局、ナギが最後まで戦っていたのは「世界そのもの」のような気配があった。それはきっと最終的にはネギに対しても敵になるのだろう。その「世界そのもの」は、案外、具体的な存在として、その姿を現すのかもしれない。