あかねさす――

2月20日、観月の日記「逢魔時」で、彼女は次のような歌をうたう。

あかねさす――
むらさきのゆき――
しめのゆき――
のもりはみずや――

「逢魔時」と「あかね」をかけているのは間違いないが、それ以上に深い意味がありそうで、妙に感心してしまった。
この歌は、有名な万葉集額田王の歌。

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

この歌は、一寸したスキャンダルを伴った歌でもある。
チョー意訳をすると、
「元彼のあなたに、そんなに求愛されると、彼氏に気付かれちゃう」
ここで元彼は大海人皇子で、彼氏は中大兄皇子のこと。
中大兄皇子大海人皇子は兄弟だから、弟の彼女を権力で強引に寝取ったという状況だ。(実際には諸説あるので、これが正解というわけではないけど)
このようなアダルティな歌をうたって

やぁ――
興奮じゃ――

と感じる老成霊感幼女、観月に萌え。
また、この歌には大海人皇子の返歌がある。

紫の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも

意訳すると
「妹を好きだからこそ、この想いは隠さなくちゃ」
となる。(少し意図的に修正気味w)
観月が「あかねさす」を知っていたとすれば、当然この返歌も意識しているだろう。
「興奮じゃ」と感じたのも、この返歌を兄の口から返される事まで想像しての事とも推測される。
つまり兄からの秘められた求愛を夢想しているのだ。
なんとも深い日記だ。
WHOLE SWEET LIFE 2008年2月20日「逢魔時」
http://gs.dengeki.com/suteki/blog/2008/02/20/post-58.html