伊藤かな恵ファーストライブツアー2012“ココロケシキ” 神奈川芸術劇場ホール

やっとここまで来たか。
歌い手としての伊藤かな恵は不思議な存在だ。彼女自身、歌に対する意欲的な部分をほとんど感じさせない。それなのに、知らない内にシングルが出ていたり、アルバムになっていたり、で、気付いたらライブツアーをやる事になっている。つまり、今このようなステージにいるのは、一重に周りの勧めによるもの、ということになるのだ。
実際の所、彼女に意欲があるのかどうかは不明だし、それについて深く追求するつもりも無いが、少なくとも、彼女の歌やライブに対するコンセプトは、あくまで「自然体」ということになる。だからこそなのか、彼女の開くイベントは全て「伊藤家」というコンセプト。つまり、普段のままの伊藤かな恵として存在している。あまり頑張ったり、おめかししたりしない。「少しゆるくても許してね」というわけだ。
なので、今回のツアーも、今までの「伊藤家」のコンセプトを踏襲していた。舞台は、いつもどおり真ん中にソファーと絨毯があり、家の中という体裁。さらには、ライブが始まり伊藤かな恵が登場する時も、別段かっこつけたりしない。「みなさん、いらっしゃい〜」的な感じで、バンドメンバーとするっと入ってくる。言ってみれば、ドリフのコントw的な感じから始まる。
しかし、実際には、ファンの方としてみれば伊藤かな恵のライブを盛り上げようと、熱気ムンムンな訳だ。このあたりの両者のギャップが融合して、アットホームながら異様なほど盛り上がる、という実に良いライブになっていた。
伊藤かな恵の方としては、もっと大人しいライブを想定していただろう。彼女自身の曲も、決して激しい曲が多いわけではない。これまでに彼女が歌ったソロイベントは1回しかないが、その時はアコースティックライブとしてしっとりと展開していた。きっと、今回のツアーも、それに毛の生えた程度で、「出来れば上手く盛り上げてファンの皆を立たせる事ぐらいはしたいな」くらいにしか考えていなかったかも知れない。
しかし、蓋を開けてみれば、UO折りまくり、警報鳴りまくり、跳ねまくりライブだった。つまり、伊藤かな恵のライブを期待して、彼女を盛り上げたいと今まで悶々としていたファンが沢山いた、という事だろう。そんなファンの熱気にあてられ、伊藤かな恵自身はどう対処してよいのか分からない様子も見せていた。
伊藤かな恵は、アニメヒロイン声優として実に得難い声質を持っている。伊藤かな恵は、その声質を生かした歌でも、実にしっかりした歌い手でもある。また伊藤かな恵は、その小さな体形から、実に愛くるしい容姿を持っている。更に言うと、伊藤かな恵は、つかみどころの無い、少し神秘的な性格も持ち合わせている。総合的に見て、彼女は、アイドル声優としてファンの人気を受け止める事が出来る器の持ち主と言えるだろう。そんな存在だからこそ、外側からお膳立てをして生まれたライブという体裁であっても、こうして成功するのだとも言える。
声フェチの私としては、伊藤かな恵の声が存分に堪能できるライブは実にありがたいもの。今よりもっと積極的なライブ展開を期待したいものだ。今回の成果を元に、彼女自身の心境に、よりポジティブな変化が有って欲しいと願っている。今回参加して彼女を盛り上げたファン達も、きっとそう感じているからこその熱気だったのだろう。

つまさきだちイベント(2011/6/19)にも行ってるけど、日記書いて無いな・・・

ココロケシキ(初回限定盤)(DVD付)

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