機動戦艦ナデシコ・ノベルテ+

機動戦艦ナデシコ・ノベルテ+

機動戦艦ナデシコ・ノベルテ+

ついに公開された幻の小説。佐藤竜雄監督直筆の「劇場版機動戦艦ナデシコ」のノベライズ。
とはいえ、内容的には、半分が小説、もう半分がファンブックのムック本。小説自体は80ページ、「序盤も序盤」で終わっている。これは当時監督自身が書きかけたものをそのまま収録しているものらしい。
それでも、ファンとしては嬉しいもの。ファンブックではかなりしっかりした監督のインタビューも載っていて、なかなか興味深い。(先に行われたイベントでこういう事を聞きたかった)
やはり監督自身としては、ユリカが「本当の馬鹿」になってしまったのには忸怩たる思いがあったらしい。演出が徹底できなかったと。
しかし、思うにこれは主に物語構成のせい。序盤のエピソードがあるから後の演出も画一的にならざるをえなかった。この事は、ユリカが馬鹿では無く魅力的に描かれているために好作になっている、大河内一楼作の小説版の構成を解析すれば判る事だ。
この大河内一楼作のナデシコの小説は「機動戦艦ナデシコ ルリの航海日誌」(TV版ノベライズ)、「・・・チャンネルはルリルリで」(TV版外伝・ミニブック)「・・・AからBへの物語」(TV版後日談)と三作あるが、どれも素晴らしい作品。今回の監督の小説にも設定的につながっているようだし、このような幻の作品にさせるくらいなら、大河内一楼に劇場版も小説化してもらいたかった。大河内一楼はその後新鋭のアニメ脚本家として名をはせたが、「ネギま!」のあおりで悪名もはせてしまっているかもしれないしw、もし仕事に余裕があるなら、今からでも遅くないので、是非監督からこの仕事を引き継いで欲しいところ。
機動戦艦ナデシコ―ルリの航海日誌〈上〉 (角川スニーカー文庫)
機動戦艦ナデシコ―ルリの航海日誌〈下〉 (角川スニーカー文庫)
機動戦艦ナデシコチャンネルはルリルリで〓 (角川mini文庫 (147))