発芽条件M

発芽条件M

清水愛のオリジナルミニアルバムだが、ミニをつけなくても良いくらいのボリュームはある。
ファンの欲目かもしれないが、私はこのアルバム一寸した傑作だと思っている。
全体的にファンタジー色の強い曲で構成されており、通して聴くと物語が浮かび上がってくるかのような印象を受ける。また、畑亜貴の言葉選びが巧みで、表面上に現れない意味も感じさせる。まるで小さな迷宮を探索するような楽しさを持ったアルバム。
人それぞれ感じ方は違うだろうが、私の最終的なアルバム全体の解釈は「アイドルとして祭り上げられた少女が普通の恋を諦め自分の立場に立ち帰る」という、清水愛自身の状況を思わせるもの。普通、アイドル曲と言えば「普通の立場の女の子」を演じるものが多い。アイドルという特殊状況にいる事をアルバム全体で表現しているものは稀だろう。さらに、それがファンタジーの世界で暗喩として表現されていると、まるで本人の真実の様な錯覚すら感じさせる。(ここではそれが本当の真実かどうかは問題ではない)この解釈に辿りついた時、まるで清水愛の真実に触れた気がし、そう感じさせた(錯覚させた)時点でこのアルバムは私にとって傑作となっているのである。