[アニメ]涼宮ハルヒの憂鬱 第4話

AIRで作画の面から高く評価された京アニだが、その裏には錬度の高い構成があったのは誰もが認める所だと思う。ハルヒにおいても一見トリッキーな様でいて、考え抜かれたシリーズ構成を見せており、唸らせられる。
今回のアニメ化は基本的に題名にもなっている第1巻「憂鬱」をメインにしていると思われる。実際、このシリーズの肝ともいえるエピソードなのだから当然だ。しかし、この「憂鬱」はかなり癖の有るストーリーで必ずしも一般受けするかどうかビミョーな作品で、いわゆる「セカイ系」という言葉を世に広めたとも言える。
多分、この事を製作側はかなり意識していると思われる。この癖の有るストーリー、設定をいかに違和感なく最後まで見せるか、という仕掛として、今までのトリッキーな時系列を採用しているようだ。
例えば、第1話「朝比奈ミクルの冒険」は小説では2巻で作られた劇中劇だが、これによってキャラクターの特異な設定の前振りをしている。劇中劇の非常識な設定をまず見せて、実際の、同様に非現実的なキャラクター設定への観客の違和感を回避しようとしているのだ。さらに、より大きな非常識な設定の伏線すらその中に潜ませている。(しかしこれは原作を読んでいない者には一寸した違和感としか映らないだろう)
そして「憂鬱」のストーリーを進めて第4話、キャラクター設定の核心に迫るかと言う所で、またも時系列が跳ぶ。ここでもごく日常的なストーリーの様に見せて、その裏ではとんでもない事態が起きていることを臭わせる。つまり単に特異なキャラクターが登場するだけの物語というわけではなく、それ以上に、このセカイそのものに特異な設定があることを前もって知らせているのだ。
観客は少し混乱しながらも、そこに有る謎によって物語に惹きこまれ、同時にこの物語が持っていたアクの強さをある程度感じずに見る事が出来るようになっている。これはこの物語における設定の特異さと世間の受け入れ度を十分認識した上での、かなり高度な構成といえるだろう。
今後も、このトリッキーなシリーズ構成に注目して見てみたい。