「世界図絵」詳細

単行本16巻145時間目の前ページに詳しい解説が出ていた。
ただしこの解説は、主にこのアーティファクトの能力限界を明確にする事を目的としているようだ。いわく、この魔法情報検索能力はまほネットに依存していて、そのネット上では古い情報は上書き削除されている可能性がある、ということ。つまり、古代の秘儀などには検索出来ないものもある、ということらしい。「限りなく広いが結構浅い能力」と思えば良いだろうか。
しかし、それは夕映にとって良い事かも知れない。無限の知識など危険なだけ。もし手に入れてしまえばある意味全てが無意味になってしまう。そんな物が夕映の資質としての虚無性と交われば、いつか不幸な方向へ向かう可能性もあったかもしれない。
それよりも、本好きの人間ならば、誰もが知っている。一つの図書館にある本はごく一部であるという事。また、ネットで検索出来る情報など、たかが知れているという事。夕映は最高の検索システムを手に入れた。これは本好きの彼女にとってはとても喜ばしい事だ。さらに、その検索システムの中に情報が「無い」事、「探すべき本がある」事は、幸福以外の何物でもないだろう。
いつか、夕映がこの「世界図絵」を片手に、図書館島のみならず世界を股にかけ、古代の秘書を探索するビブリオハンターとして活躍する後日談などが語られる事を夢想してしまう。