魔法先生ネギま! 160時間目 世界が平和でありますように

ついに超を打ち破ったネギ。1対1の対決としては勝利したものの、事態は多面的なモノになっているので、この勝負自体が本当の勝利というわけではない。色々な事象が絡み合っていて分かり辛いが、それらが全て終結するまでをこの回は描いている。
超とネギの対決と同時に行使され続けたハカセの認識魔法詠唱。実際には、これを止める事がネギチーム最大の目的だった。しかし、ネギは超との対決に時間を取られすぎ、結局魔法の発動を許してしまう。そういう意味においては、ネギ個人としての勝負は「負け」だったといえる。しかし、それを救ったのが、ネギチーム。また、茶々丸の発言からすると、最大の功労者は千雨だったらしい。
この勝負は時間との戦いという側面もあった。超はいかに早く認識魔法を発動させるか、ネギはそれを阻止できるか。ネギが超を破った事により超の認識魔法の内容が書き換えられて、結果的に無害になったが、裏を返せば、その発動がネギ対超戦の決着よりも早ければ、魔法バレの認識魔法のままだったという事になる。千雨は、ネギが行き掛けの駄賃として倒した鬼神をネット上でも押さえていたらしく、それが発動時間の遅延に繋がっていたようだ。差し替えられた認識魔法はそれでも発動したが、それは鬼神が魔方陣に到達する事を見越したからなのだろう。(実際に一時は魔方陣に達している)鬼神が魔方陣に到達していなければ世界との共鳴もできないのだから、その動向を見た上で認識魔法詠唱を行っていたと見るべきだろう。千雨自身もその功績に気付いていないが、ネギチーム最大の功労者といって良いだろう。千雨対茶々丸のネット対決の面でも千雨は勝利した事になる。もっと喜んでも良いものだが、悔しがっているあたりが千雨らしい。
≪※追記:考えてみれば、千雨の行動以前に呪文詠唱完了時間は決定していた。だとすると、茶々丸の言葉は単なる慰め?それともハカセに呪文詠唱後の発動タイミングを計る猶予期間があったのだろうか?ハカセはネギと超の決着が見られる位置にいなかったかもしれず、より速やかに魔法発動をする為、鬼神の動向チェックだけをしていたとも考えられるが…≫
鬼神達の存在自体も千雨による学園結界復活により消滅したが、それは世界12箇所の聖地との共鳴を防ぐ事になったようだ。しかし、認識魔法の内容が魔法バレのままだったとすれば、少なくとも麻帆良学園一帯には魔法が認識された事になる。それは超の計画としては成功ではなくても、ネギ達の責任問題として非常に大きなものになり、ネギの強制送還はほぼ確定していたに違いない。その点では、ネギは超の潔さにも救われたといえるだろう。
超の計画において、最も困難な点は世界の聖地との同期だろう。認識魔法の発動だけならばもっと簡単にできる。もし自分が破れれば、世界の聖地との同期だけでも阻止されて計画が失敗する事は充分に考えられる。それでも認識魔法が麻帆良一帯にかけられた事によりネギ達には重大な責任がかけられるわけで、計画失敗の上、他人に迷惑をかけるという、最悪の事態になる。超の潔さは、実に理に適った選択といえる。
また、超は確かにネギの子孫の様だ。超は自分の存在を無くさない為にも、ネギの命を身を挺して守ろうとするが、そのネギを包み込む様に抱く姿は、単に自分の為とは思えない、慈愛に満ちたものだった。超は、常にネギの事を自分の計画上に存在するパーツのひとつであるかの様に言っているが、このシーンだけは彼女の内面が表れている。深い情を持ちながらも、その情を殺して世界を相手に戦う少女。彼女が戦ってきた理由も、その情が故なのだろう。あらゆる面で、他のクラスメイトの誰よりもスケールの大きなキャラといえる。正に超の名にふさわしい女の子だ。(しかし、これらの結果を全て見越してたかのように行動し、美味しいとこであくまで目立たない様に活躍している五月は、もっと凄い人物のようにも思える。(^^)ここまできたら、彼女が魔法使いの王様でも、悪の親玉でも、ネギの母親でも驚かないかも。)
それにしても、超の「比較的過酷な人生」とはいったいどの様なモノなのだろうか。幸福な世界の方がまるで夢のように感じる人生とは一体・・・。彼女が見た目どおりの年齢だとすれば、相当過酷なものである事を想像してしまう。未来人である超にとってこの世界「過去」は結局仮初の世界なのかもしれないが、この先、彼女自身の人生が幸福になるような展開を期待したいものだ。
その他の細かい点など。
ハカセは、超とネギを助ける為に飛行機械を背負って空を飛ぼうとする。そして、その時認識魔法の起動内容に気付いて驚愕したようだ。しかし、結局ネギ達を助けたのは、五月達だった。ネギ達を助けるのを忘れてしまったのだろうか。(^^;人の命よりも目の前の真実に興味が行ってしまう、生粋のマッドサイエンティストの性が出てしまったのかも。(上空でネギチーム達のいる路面電車を見守っている事からも、単にその役を譲っただけかもしれないが)
五月の運転する空飛ぶ路面電車屋台にはチア達クラスメイトの皆が乗り込んでいた。彼女達は一体どういった経緯でこの電車に乗り込んだのだろうか。そこにいるのは、明日菜、美空、木乃香、五月、ゆーな、アキラ、風香、柿崎、くぎみー、桜子の10人。明日菜と美空は上空で合流したのだろう。ネギが空に向かって飛んでいったとして、それを追う手立てをゆーなやチア達は思いつかなかったはず。それに木乃香も乗りこんでいる。唯一人、五月だけがイニシアティブをとれる立場にいた。想像できる流れとしては、五月はネギ対超が激戦の様相を呈してきた事から、空飛ぶ路面電車屋台でサポートする必要を感じる。そして、医療班の必要性も感じ、まず木乃香を乗せに行く。その様子をゆーな達が見つけ、戦場を放り出してでも同乗を申し出た、という感じだろうか。五月は木乃香の治癒魔法を知っていた可能性が強い。また、出来るだけ多くのクラスメイトで迎えにいった方が良いとも考えていたかもしれない。やはり改めて五月という人物の存在の大きさを感じさせる。
ネギと超を受け止めたのは、どうやら明日菜らしい。しかし、受けとめた場所は路面電車の上だったのだろうか。高速で落下する人物を無傷で受けとめるには、相当な旋回能力が必要と思えるが、どう考えても、この路面電車にそれほどの性能は無さそうだ。とすると、明日菜が受けとめた場所は、美空の箒の上?まず、箒上で受けとめてから路面電車に下ろしたとした方が正しい様に思える。「スゲーよあんたッ2人分をっ」と言っているのは、美空が明日菜に対してのようだが、もしそれが美空の箒の上だったとすれば、スゲーのは3人分(魔法無効化能力をもつ明日菜含む)を一時的にも乗せた美空の方ではないだろうか。彼女は親の意向で無理やり魔法使いをやらされているらしいが、その魔法能力は未だ未知数だ。