超の敗因 〜もしくは世界を救った少女の想い〜

超が計画を失敗した原因を考えてみる。
全体をとおして彼女の計画には綻びが目立つ。その元になったのは、やはり当初ネギにカシオペアを預けたことだろう。これによって彼女はネギを最大の敵にしてしまった。
しかし、超がネギにカシオペアを預けるのには、それなりの理由があっただろう。
ネギを取込めれば味方になり得る。実際のところ心情的にネギは超に肩入れし、悩む事になる。彼の周りに助言者がいなければどっちに転んでいたか分からないだろう。また、超としてはご先祖様にだけは自分の計画は知っていてもらいたい、さらに言えば、深層心理として、ネギにならば計画を阻止されても良い、という心情があったかも知れない。超の後の言葉からも、未来人が歴史に介入する事の「負い目」をある程度感じていた様であり、ネギにこの計画の裁定者という役目をある程度求めていた様にも思える。つまり、超がネギに対しカシオペアを預けたのは、ご先祖様であるネギをある程度計画に巻き込むという点で、折込済みだったように思える。
では、超の計画が純粋に二人の勝負になってしまったとして、その原因はなんであっただろうか。その大きな流れが生まれたのは、麻帆良祭2日目の夜の「超りんお別れ大宴会」だったように思う。
これより前、超はネギと接触し、ネギを計画に勧誘する。その際、学園祭は最終日が近づき、世界樹が発光を始める。それは超がカシオペアを完全に操れるようになった事を意味する。超がネギにカシオペアを預けたのには、自分が絶対的に有利な状況になる時期がくる事を予め知っていてから、という側面もあっただろう。その時期がこの一瞬。この時カシオペアを機械操作で完璧に管理している超はネギに対して完全に優位に立っていた。この時ネギを拘束するか、カシオペアを奪ってしまえば、ネギの反撃はありえない。また、ネギを勧誘すると言う事は、ネギに対して情報を与えてしまうと言う事にもなる。そう、超にとっては、ここでネギにカシオペアを預けたという自分の不利を完全に消す必要があったわけだ。それであるからこそ、逃走に廻ったネギ達を執拗に追いかけたのであり、自分の最大の戦力である龍宮隊長や茶々丸も投入してきた。
しかし、この超にとっての最大の勝負時は、「超りんお別れ大宴会」によって御破算にされてしまう。これ以降、ネギは超に対し警戒を怠らなくなった。事前に仕掛けていたカシオペアの罠も、カシオペアがタイムマシンというある意味万能の機械である以上、突破口がある事をある程度予想していただろう。こうして、超とネギは最終対決に向かう事になる。
ところで、この勝負の流れを作った「超りんお別れ大宴会」であるが、これは何に起因していただろうか。
それは、超がくーに対して自分がいなくなるという事を伝えた事から始まっている。くーは超の近くにいながらも超陣営ではない。超はくーが心情的にネギに肩入れしている事を理解しながら、くーに情報を提供している。くーも、超に口止めこそされていないが、ネギと超が対立している事をある程度把握していたようだ。
だからくーは悩む。
悩んだ末、その場の勢いでネギやクラスメイトにこの事を伝えてしまう。その心の内には、「超のやっている事には不利になっても、これを皆に知ってもらうほうが超にとって良い事になるはずだ」という想いがあったのではないだろうか。
夕暮れ時の祭の喧騒の中、パンダのお面をして一人寂しそうに佇んでいた少女。
その心の内に、世界の行く末を左右する想いが潜んでいた・・・
などと思うと、なんともドラマチックだ。