倉田英之 生誕四十周年記念祭 ロフトプラスワン

なんだか、異様に豪華なイベントだった。元々出演が提示されていた平野耕太内藤泰弘だけでもすごいところだが、それ以外に舛成孝二谷口悟朗、そして山本寛というアニメ監督が揃っていた。さらに、木村貴宏や山根まさひろ、箕輪豊もいたし、実は黒田洋介も会場に居たらしい。それどころか、どうも会場内の内1/3は業界人で占められていたように思える。まさに、倉田英之の公開お誕生日会と言ったところだった。
第1部は倉田英之の上京から現在までの成り上がり人生が語られ、第2部ではROD、かみちゅに関する話題。そして、第3部は「倉本」を中心に、倉田英之の生態について、だったかな?(もう記憶曖昧)
倉田英之自身とても弁の立つ人で会場を湧かせていたし、登壇する業界人も芸達者な人ばかりなので、
大いに盛り上がっていた。業界の裏話で埋め尽くされた4時間、本当に濃い時間だった。
ある人の弁で「倉田英之は天才」という評価があったが、おそらくそれは違うと思う。思うに、倉田英之は「破滅の人」だ。世が不幸である事が当たり前で、そうなる事を無意識に望んでしまう。しかし、だからこそ刹那的な幸福の一シーンを描く時、憧憬を持って描くので、とてつもなく美しくなる。彼の物書きとしての本質は破滅への同化と逃走にあると思う。彼が最終回を描くのが極度に苦手なのも、単に「終わらせたくない」からではなく、幸福で当たり前の最終回が「来るはず無い」と無意識に思っているからではないか、と思える。
しかし、そんな「破滅の人」だからこそ、人からは好かれるのだろう。自分を虚無にしてまでも他人を喜ばせる事ができるから。今回の誕生日は、正にそんな彼の人生が、一気に報われた日になったのでは無いかとも思える。今後も、幸福な脚本家人生を送りながら、魅力的な作品を届けて欲しいものだ。

倉本 倉田の蔵出し

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