日笠陽子ライブイベント「Glamorous Live」 STUDIO COAST

日笠陽子については、ほんと読めていなかった。彼女がここまでの意欲を見せるとは。
けいおんでは、まずその歌唱力で驚かされたものだ。しかし、その当時彼女は結局動かなかった。あれだけの歌唱力を見せつけながら、動かない。そして、その才能は演技の方で際限なく広がっていく。続々と続くメインヒロインの獲得。ならば、やはり彼女は演技でやっていく人なのだろう。そう決めつけてしまった。もちろんRO-KYU-BU!もあったけれども、逆にそれは声優のお仕事としてしか受け付けない人、という印象に繋がってしまった。ユニットの中の彼女の立ち位置がそんな雰囲気だったから。
だから、デビューした時は普通に驚いた。けれども、すぐに「やはり」とも思えた。やはり出てきてくれなくては勿体ない人だ。
いきなり出てきて、いきなり凄いクオリティ。それが日笠陽子の印象。それは、このライブでも強く感じられた。何故だかすごく手慣れた感じ。言ってみれば、熟練のアーティストが手癖でライブをしているような雰囲気すら感じさせる。
彼女の声の伸びは、自身の声の極限まで使っているかのようだ。それは、熟練のアーティストが自分の才能を理解して、十分に使い切っているからこそできるようなこと。それを日笠陽子はファーストライブでやっている。まったくなんて凄い人だ。
彼女は常に人を楽しませるような言動を取る。それは人を楽しませるプロの芸人としての強い責任感から来るものだろう。それと同様、彼女は自身の歌に対してもプロの歌手としての責任を全うしなければならないと思っているろだろう。自身を追い込み、ここまでの歌声、パフォーマンスになって居るのではないか。
けいおん!RO-KYU-BU!と、いくつかのライブを経験しているとはいえ、ソロでは最初にして既に出来上がっていると思えるほどの作り込み。それを成しえるには、相当なセンスと努力と精神力が必要だろう。それを彼女は全て持ち得ている、いわば天才の一種なのではないかと思える。
ライブは、さすが楽曲作りに相当な時間を使って作り込んでいるだけの事はあり、その世界観も出来上がっている。勢いが有り激しくも、実に成熟したライブだった。
茫然としつつライブを彼女の体験し、ここでまた彼女の事が「読めない」。既にして出来上がっているライブを提示されてしまい、彼女は一体どこまでいくのだろう。想像もつかない。