キャラクターズを語る(暫定版)鄽 〜雛子〜「世界との出会い」

  • ストーリー

雨の日に色々と思いをめぐらす雛子。おにいたまが傘を持たずに出た事を思い出し、お迎えに向かう。ところが途中で大きなカエルに会ってしまう。

  • 解説

雛子は妹達の中でも最も年齢不祥の娘であるが、基本的には最年少で、幼稚園児相当として扱われている。いわば子供心の象徴的存在である。そんな彼女のストーリーは恋愛というよりも、彼女の心のありようそのものを描いているようだ。
冒頭で雛子は雨の好きな面と嫌いな面をあげている。彼女は元々、子供らしい素直な感性で全ての物事を肯定的に捉えようとする。なのに、好きな面、嫌いな面をあげているということは、彼女の中では、実は「雨が嫌い」という心が芽生えているのだ。ある事象を「嫌い」と決定付けるべきかという悩み、これは幼い彼女だからこそ、その感性を一生抱えるかもしれない大問題と言えるだろう。
彼女は一念発起し、雨の中、おにいたまを迎えに行く。しかし、そこで大きなカエルに出会う。雛子にとってこのカエルこそ雨の日の象徴だろう。このカエルを退治してこそ、彼女の心の中の葛藤が解決する。だから彼女はそのカエルを無視できない。そして、自分では退治できなく、負けそうになる。
そこにおにいたまが表れ、カエルはいなくなる。何時しか雨もあがっている。彼女の心は、「雨の日は嫌い」という負の感性を持つことなく保たれる。
雛子自身は「おにいたまのお嫁さんになる」と言っているが、それこそ子供としての言葉だ。彼女の心は、まだほんの些細な事からも守られねばならないほどに幼い。
庇護すべき存在と庇護されるべき存在、ここでは実に健全で微笑ましい兄妹関係が存在する。

  • 音楽

「それはあたしの心なの」
実に雛子らしい明るくストレートな雰囲気の歌だ。自分の心を全て表しているかのようだ。また、そのワードの短さも、雛子の幼さとマッチしている。
しかし、この曲にも裏に隠された意味がある。なぜ、恋する心の象徴が雨なのか。その雨は頬を濡らしている。
いつか雛子もこの歌詞に歌われる様な時を迎えるのだろうか。