今日5月5日は岡崎律子の命日。

crow22006-05-05

彼女の訃報は私の中でとても大きなものだった。
それは今でも変わらない。
追悼の言葉など上手く書く自信が無いのだが、未だに思い出すと平静を保てない者として、なにか書いて感情を治めたいので、彼女の記憶などを綴っておこう。

彼女の曲を明確に認識したのは、アニメ「アキハバラ電脳組」20話でEDで使用された「シンシア・愛する人 」だった。それ以前からも彼女の曲は耳にしていたと思うが、このED曲のインパクトは絶大だった。しかし、アニオタとして楽曲にそれほど興味が無かったので、彼女の魅力に気付いたのは結構遅かったわけだ。以来、彼女の曲を注目しようと思った。
その後、「ラブひな」や「フルーツバスケット」等に彼女の曲が使われ、こちらの気分も徐々に盛り上がっていき、CDなども買い揃えた。他にも「アキハバラ電脳組」のピアノ譜を買ってきて「シンシア・愛する人 」を練習したりもした。
そんな頃、次に彼女が手がけたのが「シスタープリンセスRe Pure」だった。

彼女は、この12話全部に12人のヒロインそれぞれのキャラクターソングを書き下ろしで作る、というテレビアニメでは普通考えられない事をやってのけた。そしてそれらの曲がこれ以上は無いくらい作品に解け込んでいた。
作品に合わせた曲を作るにはその作品に深く思い入れないと出来ない。これら「シスプリピュア」の曲を聴けば聴くほど、彼女の作品に対する思い入れが強く感じられ、彼女に対する思い入れも深まっていった。
彼女のイベントには出来るだけ参加しようとしたし、彼女の曲の素晴らしさの評論を頭の中で組みたてたりもした。(それを少しだけ形にしたのが最近書いている「シスプリピュア」の解説)
そんな時、彼女の訃報を知った。
以降、なぜだか知らないが、暫くの間、私はアニメが見れなくなった。
多分、自分の好きなアニメに、自分よりも何倍も深く思い入れている人の死により、自分自身の中でアニメを見る意味が一緒に死んでしまったからだと思う。結局それは3ヶ月続き、その間、一切のアニメを見る気がしなくなり、実際に見なかった。今でもアニメを見る姿勢は以前に比べたら随分淡白になっていると思う。
結局、彼女にイベントであったのは2回だけだった。
1回目は2003年6月の岡崎律子ピアノソロアレンジ楽譜集「life is lovely +BEST」の発売記念イベント。彼女のソロを生で聴いたのは、結局この時1回だけになった。また、サイン会の時、いかに彼女の曲が好きかを熱弁するあまり、握手してもらうのを忘れたりもした。
2回目は、多分彼女の最後のイベント、2004年4月のHMV渋谷インストアライブ。この時改めて握手をしてもらった。そして、次のアルバムに対する簡単な励ましの言葉をかけた。
その時の彼女の表情を今でも思い出せる。
彼女はにこやかに笑いながらも、何故か微妙に困った顔をした。
考えてみれば、彼女はその時既に自分の病魔の事を知っていたのだ。もしかしたら、自分がアルバムを完成できないかもしれないという事も悟っていたのかもしれない。そう考えると、彼女の気丈さ、誠実さに、胸がしめつけられる思いだ。
時が経ち、彼女が最後に手がけたアルバム「For RITZ 」が発売された。
彼女の事を思い出すと、今でも居た堪れなくなる。けれども、そんな時にはこのアルバムの中の一曲、「いつでも微笑を」を聞く事にしている。
For RITZ

For RITZ