シスター・プリンセス Re Pure キャラクターズを語る(暫定版)酛 〜鈴凛〜「黄金の光、降る刻」

  • ストーリー

人待ち顔の鈴凛は亡くなった祖父を思い出す。祖父が迎えにこない事を哀しく思う鈴凛の元にアニキがやってくる。

  • 解説

鈴凛は天才だ。それは手に入れたガラクタを誰からも教えを受けずにロボットにしてしまったエピソードからも判る。EDにおいて、幼い鈴凛がロボットを率いて歩く姿や、壊れたロボットの上に座ってシャボン玉を吹く姿は、彼女のロボット=科学に対する支配力を表している。正に鈴凛は科学の世界の女王様なのだ。彼女の祖父も科学者だったが、彼の力ははたして鈴凛に比類するものだったのだろうか。別のラボを作り、あえて干渉しなかった事を考えると、鈴凛の能力の方が飛びぬけていた為と推測する事も出来る。
しかし、そんな彼女でも心は普通の女の子だ。頼りにしているのは、やはりジジであり、アニキである。ジジの死は彼女にとって大きな衝撃となる。彼女の才能が、もし「ジジに認めてもらう為」生まれたのであるならば、この比類無き天才がそこで朽ちてしまうかもしれない。
しかし、そうはならなかった。ジジの代わりにアニキがいる。
鈴凛のアニキに対する気持ちは一見淡白だ。しかし、その裏には、この天才を形作る心のよりどころとして、とても大きな想いのエネルギーが存在する。それをアニキはしっかりと受け止める。こうして、この天才はアニキに見守られる事によって今後も成長し続けるのだろう。
鈴凛の天才は「黄金の光」に象徴される。彼女が初めて組みたてたロボットが動いた時、黄金の光が輝く。そして今、彼女には黄金に光り輝く砂が降り注ぐ。それは天国で見守るジジからの贈り物、もしくは彼女の天才への天からの祝福なのだ。

  • 音楽

「reminiscence」
とても物語性の強い歌だ。歌詞が1番、2番…と移っていく内に、そこで語られている登場人物の境遇が判ってくる。
これが別れの歌である事は最後まで聴けば判る。それではその別れとは一体どのようなものだったのか。一見生き別れ、恋人の別れのようにも感じる。しかし、詩全体から捉えると、これは死別の歌だ。春の風、ラジコン、死別と、鈴凛のエピソードを実に忠実に再現している事が判る。
しかし、この歌は回想の歌でもある。哀しい過去を思い出しているその時、春の風が吹き、空が開けている。そう、この歌を歌っている人物は、今、幸せなのだ。
姉妹の中で最も兄への恋愛を感じさせない鈴凛は兄に対する気持ちに陰りは無い。そんな彼女にふさわしい幸せな曲といえるだろう。