本当は怖い「チビ助の幻覚」

千雨のセリフからすると、この幻覚術、かなり現実的な痛みを与えていたようだ。よくよく考えてみると、これは結構怖い技だ。
幻覚から醒めた時、チビ助の傍らに幻覚に登場した者の人形が転がっていた。このことから、この幻覚魔法が、現実にはこの人形を見せ、その姿をより怖く感じさせる様にする技であると推測出来る。つまり、具体的なイメージ映像を精神に直接見せる様な技ではなく、行動やセリフ以外の、姿形や基本的な動作等は幻覚にかかった側の想像に頼っている技であると思われる。
この場合、一番厄介なのはかかった側の知識や想像力だ。例えば、明日菜は武道大会で高畑の強さを見てしまっており、絶対に勝てない強さである事を知っている。その為幻覚が解けるまでまるで敵わない。
そして、さらに恐ろしいのがのどかの状況である。彼女の想像力、知識はかなりのものだ。ケルベロスがどんなに恐ろしい魔犬であるかも、パーティの中で一番理解していたであろう。そんな彼女が自分が魔犬に踏まれたと認識したのだ。
ここで少し考えたいのが、この幻覚が個人の想像によるものであるとして、画面上で描かれているのは誰の想像による描写かという事だ。主にパルかもしれないが、単に統一観を出すための便宜的な描写かもしれない。なんにしても、それはのどか自身が想像している図では無いかもしれないのだ。
のどかの中では、自分が魔犬に踏まれた時、どんな想像をしてしまっているのだろうか。巨大動物の筋肉が一体どれほどのものか、とか、その体重からくる圧力は、とか、その爪の鋭さは、とか、彼女は的確に想像する事が出来ただろう。彼女は、幻覚の中で、○○が△△△になって、××××してしまっていたかもしれないのだ。
そして、本当に恐ろしいのが、その痛みが単なる幻覚のままで納まるか、という問題である。
もし、本当に死に直結しているような痛みの幻覚を受けた場合はどうだろうか。痛みによるショック死などはそうそう無いだろうが、それでも可能性はありうる。そこまでいかなくても、痛覚が身体を管理する重要な感覚であることも事実、本当の身体への影響があるかもしれない。また、トラウマ等の精神的な後遺症も考えられる。
結論:このチビ助こそ、今のうちにオコジョにすべき。(未だに夕映への仕打ちを根にもっている)