幻覚と魔法無効化能力は矛盾する?

幻覚が個人に間違った情報を与える魔法であったとした場合、明日菜の魔法無効化能力との間には矛盾はあるだろうか。
カモが「無限鳥居は空間系」と解説し、「明日菜が無限鳥居にかかっても今回は大丈夫」と推測した論理は若干詭弁くさい。今回の状況で「空間系の魔法にかかっていない」と確信できている根拠がどこにも無いからだ。なにはともあれ、今回の罠は、その状況からしても、空間系ではなく感覚系、個人へ直接影響を及ぼす幻覚であったと推測出来る。
そうなると気になるのが、いつそれにかかったのかという事。夕映が何かに気付いた描写からすると、地下30階に着く前に既にかかっていたと推測出来るが、その描写は無い。省略されたのだろう。しかし、そのかかる瞬間こそ、明日菜の魔法無効化能力との矛盾点になりかねない。この魔法は空間系とは違い、明日菜に対して直接かけられたはずだからだ。
けれども、それは本当に矛盾点だろうか。今まで明日菜は、それが自分対して良くないと感じた魔法に対して、その能力を使ってきているようだ。気がついたら魔法を無効化していたという描写はあまり思い出せない。
もしかすると、この魔法無効化能力は、明日菜の意識にかなり影響を受けるのかもしれない。
例えば、身体に直接影響がある魔法をかけられた場合、それが身体に害を与える魔法であれば、身体が反応して無効化を実行する。しかし、明日菜自身がそれを受け入れようとすれば、その魔法は効果を与えるのかもしれない。
そして、今回のケースだと、この幻覚魔法は身体に影響を与えるものでは無く、精神に影響を与える魔法だ。この場合、危険を感じるのは明日菜の意識そのものであるので、彼女が魔法を認識できない限り抵抗は出来ない、ということになる。
とすると、明日菜は幻覚魔法に対抗できないのだろうか。いや、明日菜が今回の経験で幻覚魔法というものがある事を認識し、その魔法にかかる瞬間の感覚を覚えていていれば、今後幻覚魔法にかかることは無いかもしれない。