ネギパーティ、戦いの覚悟

千雨の問いかけが、ネギパーティの覚悟の程を明らかにする。こういう描写を見る時、「ネギま」という作品が、やはり理知的な作品であると改めて認識できる。バトルコミック等は、「戦う動機」がなおざりになってしまうケースが案外多いものだ。
明日菜は単純に「ネギを助ける事は当たり前、だから戦うの当然」と感じている。明日菜の戦う動機は、既に何回も問われている。最初に彼女自身が語ったのは京都の電車の中だろうか。彼女の戦う動機は今となってはかなり大きくなり、今更あげつらう必要もないだろう。
のどかにとっては、「好きな人に会えなくなる」という強い動機が与えられている。本来、戦いに積極的に向かう性格ではないが、彼女にとってネギ=恋愛の存在はかなり大きく、この動機は、戦いへの覚悟として充分な説得力がある。
夕映も、実質的にはのどかと同じである。しかし彼女の場合、自分自身の知識欲、冒険への好奇心であるというカモフラージュをしている所がなんとも可愛い。
木乃香の場合、ここにいない刹那の存在が大きいだろう。刹那と同じ行動ならばどんなことでも付き合うにちがいない。しかし、それだけでなく、木乃香図書館探検部員等仲間の為になることは、大抵の事ならば即座に覚悟を決めてしまいそうな、懐の広さを感じさせる。
くーは、覚悟という言葉を使うならば、このパーティの中で最も覚悟を決めている存在かもしれない。彼女にとって、戦いは覚悟するべきものでは無く日常だったはずだ。しかし、この戦いは、彼女にとって親友との戦いである。親友の悪行を止めるための覚悟を決めた今、彼女の使命感は最も強い。普段の彼女とは少し違う、最近の寡黙で献身的な行動には感動すら覚える。
パルはこのパーティの中で最も心が読めない存在である。しかし彼女がこのパーティの空気を明るくするムードメーカー的存在として重要なのは間違いない。彼女の戦いへの動機は、多分「仲間の面倒をみる」ということだろう。面倒見の良い彼女の事、そこに求められる仲間の環がある限り、充分動機になっているのかもしれない。
そして、千雨である。彼女にも表向きの理由がある。ファンタジー世界にしたくない、という動機。しかし、本当はそれが彼女自身の戦いの動機にはなり得ない。彼女は本来自分は後ろにいる事を最善と考えているからだ。しかし、何故か付き合ってしまっている。それは、ネギへの興味からだろうか。パーティへの仲間意識からだろうか。なにはともあれ、パーティの中で最も世俗に聡く、地に足の着いた思考の出来る彼女の存在は、案外貴重なのは間違いない。