ブレイブストーリー

なかなか良い出来。
心に傷を負った少年が異世界に迷い込み成長する事によってその傷を癒していくという典型的なインナースペースファンタジー異世界の描写もなかなか凝っていて、見ていて楽しくさせる。
そしてなにより重要なのが、主人公たち子供の置かれている立場。彼らは従来のこの手のファンタジーによく出てくる、心の弱い、他人との交際も苦手な、成長すべき子供ではない。自分なりの価値観を持ち、人との付き合いも問題ない、ごく普通の、もしくは普通以上に良く出来た心根の優しい子供だ。そんな彼らがファンタジー世界に入らなければならない原因は、全て彼らの外側で起きる。普通、守られるべき存在の子供が、普通に守られなくなった、異常な現代にあるべきファンタジーとして、一定の存在意義を感じさせる作品になっている。
ストーリーは、原作がかなり長いこともあって、展開が早すぎ、説明不足や、場合によっては矛盾する所もあるが、キャラクターの特色が明確に描き分けられているので、少しの瑕はある程度無視して見ることが出来た。
主人公の少年にとってはとても長い旅の物語であり、仲間達との友好を深めていく物語でもあり、世界としては悪の大魔道士の暗躍による世界大戦の物語であり、それがきっかけでおきる悪魔との終末戦争であり、という、大スペクタクルな作品が、この時間内に収められているのは、ある意味凄い事だ。幾つかの舌足らずな部分は目をつぶり、想像で補って楽しみたい。
とはいえ、できればこの作品を元にテレビ2時間番組の前後編で、正味3時間程度に規模を拡大して放映、とかしてくれないだろうか。