エンターテイメントとしての「戦争」

一つの漫画の世界観が成熟していき、オールラウンドなエンターテイメントと言えるような物になった時、その世界観の懐の深さを測るイベントの一つが「戦争ごっこ」といえるだろう。
結局、人間は戦争好き。不調法な言い方をすれば、「戦争は人の行うの究極のエンターテイメント」と言って良い。
戦争をいかに大規模に、それでいて楽しく体験させてくれるかで、その漫画が構築した世界観の広さ、深さを知る事が出来る。
麻帆良祭最終日に行われる学祭全体イベントが、急遽謎のロボット群団と戦うサバイバルゲームに変更になる。これは学祭を楽しむ一般人にとってみれば唯のゲームなので、当然単純に楽しむ事が出来る。しかし、その裏には、この戦いに失敗すれば、魔法使い社会(ひいては全世界)に重大な問題を引き起こすという、切実な戦いも存在する。このような物語の二重構造により、楽しい雰囲気と、緊迫した展開を、同時に楽しむ事が出来る展開を作る事に成功している。
小道具も秀逸だ。ネギ達が用意した武器は、敵が魔力で動くロボット軍団で有る事を知らせていた事から、それだけをターゲットにした人体に影響の無い武器を設定でき、さらには、武道大会における過激な魔法使用を演出に思わせる役にも立たせている。(エヴァ人形遣いのスキルすら活用している。)また、そのロボットも=田中さんであり、脱がせ光線しか出ない事は事前に描写済み。これによってアウトになった生徒は裸になるという、嬉し恥ずかしなルールにまでもっていっている。これらは、すべて過去の伏線から引き出してきた事で、ほとんど無理がない。これほどまで綺麗に、娯楽としての戦争状態を作り上げた例を、他にほとんど思いつかない。
いや、ほんと、赤松健は天才か。
次回以降のド派手な展開に期待したい。