Kanon

3話にして、早くも物語の全体像を見せ始めた。出来るだけ早くこの「Kanon」という世界に引きずり込み、その独特な世界で一見奇異な設定を楽しませようという企みだろう。「ハルヒ」の時も思ったが、こういうメタレベルでの気の使い方が出来る所が、「京アニクオリティ」一番の力ではないだろうか。
今回のキーワードは「記憶」。登場人物の多くがその「記憶」に関して不自然な所をもっていて、それがこの街=世界全体の雰囲気になっている。この不自然さの根源が、つまるところ、この街に帰ってきた主人公に起因するものであろうことが想像でき、その主観者である主人公から見たこの世界自体が、現実なのか、夢なのか、幻想なのか曖昧な感覚に陥っていく。
この物語は、「非現実的な少女との出会いを描く為、世界自体を非現実的に歪めさせる」という、美少女ゲームで良くある手法においても、最も高いランクの作品といえる。
このクオリティで2クールもこの世界を堪能できると思うと、なんだかとろけそうだ。