超に関する推理 その七 「矛盾する存在としての超鈴音」

超の行動も最終段階に入り、現在、彼女に関して多くの情報が提示されている。しかし、それらは提示されればされるほど彼女の正体が把握できなくなるような矛盾に満ちたものばかり。一体彼女は何者なのか。もうそろそろ明かされるとは思うがその前に整理してみたい。
・時間遡行者の不確定性としての矛盾
 少し前まで、ネギまにおけるタイムマシンの影響は「運命決定型」だった。つまり、どんなにカシオペア試作初号機(仮)を使って時間を遡っても歴史は変わらなかった。しかし今は違う。同じカシオペア試作初号機(仮)による時間遡行によって、ネギが見た1週間後の世界とは違う歴史が進みつつある。つまり今は、超の計画のとおり時間遡行によって歴史を変えることができるのだ。
この矛盾については、未だ現れていない設定により説明がつく可能性があるので、今は問題にしない。しかし、問題なのは超自身の立場である。
超の行っている計画は人類の文明そのものをも揺るがす大計画である。この計画の成功により、未来社会は大きく変容するだろう。そしてその時、一番その社会変容の影響を受ける者は誰だろうか。当然、未来人であるという超自身である。
文明が変容すれば、当然人の流れも変化する。そうすると、当然「その世界に存在していた人間は存在しなくなる」。そう、普通に考えれば超は自分の計画を成功させてしまうと、自分の存在そのものが危うくなってしまうのだ。彼女はその事を理解した上で計画を進めているのだろうか。
この点については、①自分が消滅する覚悟の上での行動である(強い意志型)、②実は計画そのものが失敗する事を前提に行動している(策謀型)、③時間旅行はパラレルワールドを生んでいるだけで歴史改変はされていない(時間特性差し替え型)、④超は文明の変容にすら影響を受けない超次元的存在である(とんでもSF型)、⑤歴史が変わっても来るべき未来は同じという時間特性(ドラ○もん型)、などの展開策が考えられるが、どれも無理のある展開であり、今一つこれというものが見出せない。
・超のバックボーンの矛盾
 彼女はここに至るまで、いつも自分一人の意志によって行動しているかのような言動をとっている。しかし、それは本当にそうなのだろうか。
最初に示された謎は、彼女がカシオペア試作初号機(仮)で時間遡行をしてきたとして、その時間移動に必要な魔力は一体誰から調達したのか、というものだった。この謎については、世界樹発光時の魔力を使用すればかなり無茶な時間操作も可能と言う事が分かってきたので一応解決された。しかし、それでもどの程度の長時間移動が可能なのかは不明であり、明確な回答がなされた訳ではない。
そして、今最も問題にすべきなのは、超が未来からやってきたとして、彼女は身一つでこの世界に現れたのか、という事である。
彼女が現在展開している膨大ともいえる軍事力は、彼女が現れた2年前から、彼女の手によって作られたものなのだろうか。その兵力を見ると、いくらオーバーテクノロジーを使用したとしても無理があるように思える。それに、気になるのがその兵器のマーキングである。「UN MARS FORCE」。これは単なる超のお遊びなのだろうか。普通に考えると、この兵器は未来の火星から運んできたと推測すべきである。田中さん部隊や、六鬼神の制御外殻なども同様である。これほどの質量を彼女一人が運んでいるとも思えない。そこにはやはり何か巨大なバックアップがない限り無理なような気がする。
もしくは、一回だけの時間移動という思いこみそのものが間違いであり、例えば、未来における世界樹発光の魔力により、ほぼ無制限に未来との連絡が出来ている、という可能性すら想像できる。その際、未来の「ある存在」に常に超が影響を受けている、という事も考えられる。
・超、その言動の矛盾
上記の要素を踏まえた上で、なお彼女の言動そのものにも矛盾する所がある。
一つは、計画成功後の自分の身の置きかた。
クラスメイトに対しては「遠い場所に転校するのでもう会えない」としておきながら、高畑に対しては「私が世界を監視する」としている。これは普通に考えてそのどちらかに嘘があると見ざるをえないだろう。もし、この矛盾を嘘なく解消するのであれば、かなり特殊なSF的ギミックが必要になると思われる。
あと一つは、なによりも彼女の行動の甘さ。
彼女はこの計画を是が非でも成功させようとしているような言動をとっているが、実際には多くの面でおかしな点がある。その根本となるのは、やはりネギにカシオペア試作初号機(仮)を預けた事だろう。その結果、ネギを未来に送る罠も、ぎりぎり現在に帰ってこれる1週間後の未来であったし、事実彼女はネギが帰ってくることを予想していたようだ。まるで、「逃れる事を前提とした罠にかけ、その前提には気付かれないようにしている」ようだ。
また、今現在使用している特殊弾もおかしい。確かにこの「未来に飛ばす」という弾は達人にとっても逃れる事の出来ない究極の兵器だが、時間遡行が出来るカシオペア試作初号機(仮)を持っている者にとっては無意味にもなる。ある意味「カシオペアを預けたネギだけがこの計画を破れるようにするおぜん立ての道具」にすら思える。
そして、超はネギの立てた魔法を隠す計画「麻帆良大戦」に自ら参加し、今現在も魔法そのものを直接的に公開しようとはしていない。これではまるで、ネギが超の計画を破る事を待っているかのようだ。
・超の正体、結論は・・・
上記の事柄をより集めて色々検討して見ると、おぼろげながら超の正体の全体像が見えてくるような気もする。しかし、それはほとんどありえないような、突拍子も無い推測ばかり。結局、今ある情報では何か足りていない部分があるように思う。なので、ここでは無理に結論を出さず、物語の推移を楽しみながら見ていきたい。