マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵

一体何冊目になるのだろうか。気がついてみれば、かなりのロングシリーズになっている。(25巻目?)
ここの所貯めていて、読んでいなかった既刊本をまとめて4冊読む。
当初読んだ時は、がさつ者の男としては、その「お嬢さま密度」の濃さに読み進めるのもなかなか骨の折れる物語であったわけだが、最近では濃度も薄く感じられ、気を抜いて読んでいると一瞬で読み終わってしまう。世界に慣れたという事もあるだろうが、やはり物語そのものが薄くなっているのだろう。
けれども、それはそれで良いと思っている。
シリーズ第一期とも言える「いとしき歳月」第8巻までは、密度も濃く、正に「マリみて」シリーズの本旨で、乱暴な言い方をすれば、マリみてはこれだけ読めば充分、とも言える。
けれども、そこで終わってしまってはあまりにも勿体無い。せっかく生まれた世界も登場人物も、もっと味わい尽くしたい。そう作者も読者も思ったからこそ、今現在も延々とシリーズは続いているのだろう。
上質な物語を作る事も重要だが、物語を長く楽しませる事もやはり大切だ。
そういう点では、実にありがたいシリーズと言える。これからも出来るだけ長く楽しませて欲しいものだ。

とはいえ、今回の話は結構重たい。ついに瞳子の秘密が明かされる。これまでも、心に重い荷物を抱える少女が沢山登場してきたが、瞳子の荷物は、もしかしたら一番重たいかもしれないだろう。正に主人公祐巳との対比がハッキリしているキャラクターだったと言う訳だ。主人公の資質として、素材は最高の魂の持ち主である祐巳瞳子に係わるたびその魂が磨かれ、より高みに上っていく主人公がそこにあり、見ていて楽しい。瞳子もその立場にいながら、実にまっすぐで、いい娘だよなあ。