ネギま!にみる「亜空間魔法体系」

先日書いた「変身呪文としてのアデアット」という文から少し考えを進めて、ネギま世界の魔法そのものについて考えてみる。
実は以前より、ネギまで描かれている魔法=超常現象の中で、どうにも違和感を感じる現象が幾つかあった。
それは、超常現象用語的(?)に言うと、テレポートとアポ―ツ。テレポートはネギまではゲート(転移魔法)と呼ばれている。アポ―ツ、つまり「取り寄せ」は、パクティオーカードの機能で見られ、「アデアット」としてアーティファクトを取り寄せたり、衣装も取り寄せる事が出来る。また、「召還」によってマスターが従者、つまり人間も「取り寄せる」事が出来たりする。
これらの、言ってみれば「空間干渉型魔法」は、今まで魔法について良く解説されている魔力の存在だけでは説明する事が出来ない。(単純に魔力を使った魔法についても「精霊」の介在があるようで、決して単純に使えるものでは無いようだが、ここでは深く突っ込まない。)
一寸夢の無い話をすると、魔法、もしくは超能力という物は、結局人間の意識の隙を利用したトリックから発想されたものであり、その為、その体系の中に当たり前の様にテレポートとかアポ―ツなどが組みこまれているが、実際にこれと似た現象を科学の力で実現しようとすると、とんでもなく難しい(というか事実上不可能な)事になる。超能力物語などにおいては、この「空間干渉型」の存在が結構重要視されており、これが無い物はある程度科学的根拠が考慮されていると言える。逆に、この「空間干渉型」が当たり前の様に出てくる「ネギま!」は、かなり「ファンタジー寄り」という事にもなる。
しかし、ネギま!においては各現象について結構丁寧に後付け解説されている所が面白い。「召還」魔法についても、単行本6巻(134p)で、「かなりの高等魔法である」との解説があったりする。
結局の所、ネギま!において結構多用される「空間干渉型魔法」は、それ相応の裏設定があった上でと推測する事が出来る。それがより強く印象付いたのが、今回(173時間目)における「アデアット」に関する衣装の説明。衣装という「物体」が登録される事により表れたり消えたりするという事は、それが保管されている「空間」がどこかにある事を想像させる。ここではそれを「亜空間」としておこう。つまり、ネギま!の世界には「亜空間」という概念が存在し、それを利用した魔法体系がある、という風に認識すれば、今まで描写されてきた「空間干渉型魔法」もある程度説明がつく事になる。
もしかしたら、ネギま!の世界では、この「空間干渉型魔法」=「亜空間魔法体系」は魔法や気の鍛錬により案外容易に使用する事が出来るのかもしれない。例えば「気」を使っているはずの楓が巨大な十字手裏剣をいきなり持ち出したり、ネギが年齢詐称薬を使った際衣装も替える事が出来た事も説明できるだろう。他にも、今まで「漫画的表現」として流されていた不条理描写にも、案外解決する部分があるかもしれない。このように考えれば、単純に「ネギま!はファンタジー」という事も出来ないだろう。
なにはともあれ、物語が進むにつれ、「ネギま!」の世界はより明確に設定されて来ている様に感じる。「亜空間魔法体系」もまだまだ妄想の域を出ないが、今後、これらについてより詳しく解説される事を期待したい所だ。