2007年ネギま!10大ニュース 内と外

もう2007年の暮れも押し迫ったという事で、「ネギま!」の10大ニュースをまとめてみたい。
今年は、結構原作サイドも動乱の時期だったので、原作サイドの5大ニュースと、それを取り巻く外の環境の5大ニュースとにまとめてみる。

  • 内側・原作サイド

1.一学期編完結・夏休み編開始
ネギま!」において、今ままで「編」で区切られた事は無い。そのような意味では、この区切りはとても大きな意味があるように思う。実際に、この区切りの前後で、原作者赤松健自身のネギま!に対する意識が随分と違ってきているように思われる。いわば、シリーズ全体のターニングポイントになりそうな区切りといえるだろう。とは言え、この事は単行本で削除されているのだが。
2.明日菜の出生の秘密クローズアップ
新章に突入して最初のシーン(169時間目)、20年前の大戦末期と思しきシーンの中で、明日菜と思われる少女が居る事が描かれている。つまり明日菜は見た目どおりの年齢ではない、一時期まで不老の存在であった事がほぼ明らかになった。これは、ネギま!の設定の中でも、最大級の事実であろう。
3.魔法世界突入
夏休み編開始以上にネギま!の雰囲気を変えているのがこれ。魔法世界に入って以降は、切実な出来事が連続して起こり、麻帆良学園が顧みられる事はまったく無い。かなり多くのクラスメイトが魔法世界に入ったとは言え、残りほぼ半数のクラスメイトは置き去りのまま異界の地の描写が続くこの状況は、ネギま!という作品の世界観そのものを変えていると言える。
4.かなり突っ込んだエロ描写が続く
魔法世界に入ってからこっち、茶々丸の挿入身もだえプレイ、千雨の全裸触手プレイ、亜子の奴隷隷属いたぶりプレイと、ネギま!にしてはかなり過激なエロシーンが続く。これはネギま!のエッチシーンの描き方そのものの変化にもなりかねない、強い意味のある描写だったと言えるだろう。
5.「夏休み編」そのものの崩壊?
「夏休み編」の一部として始まった魔法世界探検だが、出会い頭の出来事により、現在、普通に考えて既に夏休み中に麻帆良学園に戻ることが出来ない状況にある。ネギパーティは夏休みを期間を超えても魔法世界に留まざるを得ないのか、それとも救済措置があるのか。もしくは、魔法世界編をもって「ネギま!」はまったく異質な作品になってしまうのか。今後のネギま!を占うという点において、とても大きな問題と言えるだろう。
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以上5つの出来事は、ネギま!という物語が、今まであった「ネギま!としての枠組み」そのものを取り払おうとしている動きのように思える。それが本当に良い事であったかどうかは、読者の反応が待たれるところ。

  • 外側・環境サイド

6.プリフェス開催と“ネギま”声優卒業
ネギま!が単なる漫画だけではなく、様々なメディアミックスに着手し始めた、その最初の話題は正にクラスメイトのキャスト発表だっただろう。その後の声優を使った様々な展開が、信じられないほどに世間の興味を惹きつけていったという事実がある。その意味では、“ネギま”声優こそ、ネギま!がここまで大きくなった要素の代表といえるだろう。まず、2月18日の赤松健日記により、その彼女達の卒業が発表され、3月3日卒業式を兼ねたライブ「Princess Festival」もパシフィコ横浜で行われた。その後、幾つかの細かいイベントを経て、実際に“ネギま”声優達は卒業していった。
7.実写版「魔法先生ネギま!」非難轟々。そして放映開始
実写版「魔法先生ネギま!」の企画が発表され、ネギま!ファンからの不安と非難が噴出。放映開始以降も、新人アイドルを多用するキャスティングにより、その演技力等を問題視する声が多かった。しかし、魅力的なアイドル達とそのライトエロ描写、そしてある程度テーマ性のある話を毎回見せることにより、その非難も少しずつ終息して来ているようだ。今では、積極的なキャンペーンの展開により、それを喜ぶファンの声の方が大きくなっているようにすら感じる。いや、付いていけなくなった人が多い、ともとれるかもw。
8.赤松佳音CDデビュー
赤松健の奥さん、佳音さんが7月27日「ナナヒカリ☆ツアーズ2007」というライブを開催。赤松健自身も参加してのこのライブは、ネギま!ファンにとって、とても貴重な機会となった。その際披露された「それが、かのん流!」はCD化され、発売される事に。漫画家赤松健のご夫妻として広く認知される事になる。
9.赤松夫妻「世界バリバリ★バリュー」出演
「世界バリバリ★バリュー」は様々な職業の実態を紹介するゴールデンタイムにやっているTBSの番組。8月9日、赤松健及び「ネギま!」はオタク漫画家、萌え漫画として紹介された。これによって「ネギま!」は萌え漫画として第一線の作品であるという事を、広く世間に知らしめた事になる。つまり「ネギま!」が萌え漫画であるという評価も、公式な事とされたと言って良い。これは「世間とオタクの認識の溝は結局埋まらない」という赤松健自身の冷徹な判断に基づいた宣伝行為だったのだろうが、世間の「ネギま!」に対する偏見がさらに強まる出来事でもあった。
10.大手ネギま!関連ファンサイトの離脱相次ぐ
これは、少しずつながらも着実に起こっている事実だと思う。例えば、ネギま!声優系の大手「猫とネギま!と声優さん」さんは現在休止状態。漫画評論家である「ピアノファイア」さんは「ネギま!部屋(楊さんのページ別館)」さんにネギま!のコンテンツを引き継ぎ、実質離脱状態。よろずニュース系の「マンガ☆ライフ」さんにして「ネギま!つまらない」と公言する始末。そして「バーチャルネット図書委員のどか15歳」さんも年を越すことなくサイト閉鎖。他にも感想系で幾つか完全停止状態のところもある。これらが単なる偶然の一致なのか、ネギま!をとりまく現在の雰囲気の表れなのかは、今後の動向を見守っていくしかないだろう。
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今年のネギま!を取り巻く周囲の状況は「色物系」に終始したといっても良いかもしれない。
結局、人気のある漫画のメディアミックスの流れ、つまり拡大成長の流れは、「出来のよいアニメが作られるかどうか」にかかっているのだろう。そのアニメ化にして「広告塔」以外の意味合いを見出せないほどに「ネギま!のアニメ化」は内容を伴っていなかった。ある意味、成長の柱を砕かれてしまっている。それも、二回も。
そこで、アイドルを使った実写化や、原作者自身の派手なアピールをしたとしても、それは「色物」としか見られない。その企画や行為自体が悪いという事ではなく、その時期として、丸で「打つ手なし」の状況に思われてしまうという意味で、好ましくなかったと言えるのかもしれない。
原作に漂う閉塞感と、それを打開しようとする最近の展開は、この周りの状況と微妙に影響しあい、その双方が悪い方向に受け取られかねない雰囲気になっている気がする。
ネギま!」という漫画作品そのものが内包するエネルギーが、決してこの程度で尽きる物ではないと信じている者としては、最近のきな臭い雰囲気は実に残念だ。「ネギま!」が巨大な利益を生むコンテンツである事からも、決して思うがままに行かないという事は承知しているが、それだけに強い危機感を感じざるを得ない。