処女はお姉さまに恋してる 櫻の園のエトワール

本屋にて発見。今まで存在自体知らなかった(^^;)。まさか、この作品が文庫化されているとは思わなかった。
そして読む。至福の一時(^^)。
同人誌版では2編だけであったものがかなり膨らましてあり、読み応えも充分。ぶっちゃけ、同人誌版部分より追加部分の方が明らかに完成度が上がっているので、より小説として楽しむことが出来る。これは素晴らしい。
内容的には、瑞穂さま卒業後の一年間を中心に、最後はその次の年のエルダー選まで。つまり、白菊の君が選ばれるまで。瑞穂さま達の後輩達が、聖應学園の中心となって歴史を作っていくという、正に年代史的な楽しみをすることが出来る。
基本的には、おなじみの各キャラを満遍なく描こうとしているので、群像劇的な作りだが、通して読んでみると、実質的な主人公は周防院奏の「妹」になった七々原薫子といえる。事情を知らずに学園に編入した彼女の、一般人の視点で物語が展開しているといってよいだろう。そして、その彼女の姉である周防院奏、つまり白菊の君がエルダーに選ばれるまでの物語となっている。聖應学園独特の行事や風習が物語の中に織り込まれて描かれており、話の盛り上がりはゲーム版を髣髴させる。うーん、いいねえ(^^)。
しかし、残念な事に、これがこの物語の最後の作品になるらしい。
実際には、今回新たに登場したキャラには、伏線が未処理のままのものが結構沢山在る様に思うのだけれども・・・。
確かに「宮小路瑞穂を軸とした物語」は終幕しているのかもしれない。けれども、「聖應学園の物語」は続いている。まだまだ、描ける余地はあるだろう。少なくとも、奏が卒業するまでは「おとボク」としてのエネルギーは留まっているように思う。
手にした本は既に「第2刷」だった。充分需要はあるように思う。いっそ物語の始めから、小説版として原作者自らが書き直しても良いのではないだろうか。
物語世界の、今しばらくの継続を願いたい物だ。