Minori Chihara 1st Live Tour 2008 〜Contact〜 Shibuya O-EAST

始めて茅原実里のライブに参加したのは、一昨年のバースディライブ。このライブの1シーンがDVD「Message01」の冒頭に登場するように、今思えば、あそこから彼女の大進撃が始まったとも言えるので、実に感慨深い。それまでキャラソンCD等を聞いて上手いとは思っていたものの、そのライブでパフォーマンス全体のレベルの高さに驚かされた事を覚えている。
ただ、まだその時は彼女の真価を理解していた訳ではなかった。その後の幾つかの細かいステージを見聞きして確信したのは、その「声質の良さ」。声を伸ばせば伸ばすほど粒立ちが良くシャープになっていくその声は、正に得難い才能だろう。アルバムの「最も美しい声を持つ声優」とのキャッチコピーには、掛け値なしに同意したものだった。
そんな彼女による始めてのツアーコンサート。生バンでやる事が夢とか語っていた彼女にとって、自分のライブとして1,000人規模以上のライブはこれが初めてだろう。O-EASTにぎゅうぎゅうに詰め込んでいたので、最大収容1,300人は入っていたはず。彼女のように、声の良さで聞かせることが出来る歌い手にとって、会場が広ければ広いほど、人が多く居れば居るほど、その真価は発揮されるだろう。そして、そんな才能を開花させる場を少しずつ広げていく様なこのライブツアーは、彼女にとって正に夢の実現そのものに違いない。
もしかしたら、この日の彼女の歌は「少し感心出来ないもの」だったかもしれない。なぜなら、あまりにも無防備に、まるで初めて歌う喜びに目覚めた赤ん坊が如く、自分の思うがまま抑制をきかせることなく歌いまくっていたように思うから。
しかし、その歌声こそ、彼女の喜びの表現そのものであり、聞く方としても一緒に嬉しくさせてくれる。なにより、今、初めて活躍の場を得た彼女の感情は、今この場にしかない一度きりのものだ。それは、正にライブの醍醐味といえるだろう。実際の所、「感心出来ない」と言っても、その声の生み出しているパワー、魅力は他を圧倒する程のものなのだから、なんら遜色は無い。正に、心の乗った、力強く、情熱的なライブだったと思う。そんな得難いライブに出会う事が出来、大いに満足させてもらった。
そして、これがまだ彼女の真価ではないのだと思うと、行く末が実に楽しみだ。一体どこまでその活躍の場を広げることが出来るのか、是非見届けてみたい。