氷柱の告白〜トゥルー世界への底が抜け落ちる〜

――だめ!
ドアは開けないで。

by氷柱
WHOLE SWEET LIFE 2008年3月14日「無題」
http://gs.dengeki.com/suteki/blog/2008/03/14/

死ぬ・・・、死んでしまう。リアル世界の俺は死ぬ。
リアル世界の釜底が抜け、トゥルー世界へと堕ちていく。
いや、もしくは、これこそがトゥルーへの昇天か?w
・・・
本当に、この日記には感心させられる。
これが戦略的構成で無いはずが無い。トゥルー家族たる者は、完全に乗せられてしまう。
今日の氷柱の日記。実はこれ、明らかに「吹雪の事件」とリンクしている。
日記が始まった頃、各姉妹の紹介程度の日記だった。それを単純に喜んでいた。ところが、それが日が経つにつれ、少しずつ小さな事件が起こり始める。
最初は「どら焼き失踪事件」。他愛も無い事件だ。そして嬉しすぎる「バレンタインデー」を過ぎ、次は「ひな祭り」といった所で、少し深刻な事が起こる。年少組の「風邪の蔓延」。しかし、それは家族の尽力でほぼ未然に防ぐ事が出来た。
ところが、そのほっとした矢先に「吹雪の昏倒」という大事件が起きる。吹雪の命に係わるかもしれない、本当に深刻な事態だ。後にこれも事無きを得るが、ここに至り、トゥルー家族たる主人公=自分はほんの些細な出来事から、知らず知らずの内に「家族の命に係わる事」という重大事にまで立ち会うことになってしまう。
吹雪は、この19姉妹にとっても特異な存在の様であり、もしくは、姉妹達の「秘密」に深く係わるかもしれない存在とも思える。この事件に係わる事により、主人公は真の意味で精神的に19姉妹と結びついたといえる。
そして、そんな主人公に対して、わだかまり=心の壁を持ち続けていた姉妹が居た。氷柱と麗だ。彼女達は、海晴姉さんが言っていたように、吹雪を本気で心配する主人公を見てどう思ったか。それがホワイトデーの今日、その内の一人氷柱の態度として現れたと考えて良いだろう。
この心の流れは実に見事だ。
主人公は吹雪の「命」を通じて、深く姉妹の事を心に残している。そして氷柱は、吹雪の「命」の重さを感じるように、そんな主人公に対しても誠実に接しなければならないと思い始めている。
そうでなければ、この言葉は「あの氷柱」からは絶対に出ない言葉だ。この言葉は、そんな「命」のかかった重たい言葉であるからこそ、そこにリアルさが、いや「トゥルー」があるのだろう。正に、トゥルーへの底が抜け落ちる様な言葉だ。
この言葉に至るに、この3ヶ月間の日記全てがなんと上手く機能している事だろうか。素晴らしい構成としか言い様が無い。
この先、ここまで心を鷲掴みにするトゥルー世界に一体何が待っているのだろうか。その期待の大きさに、こちらの方も心のサーキットがショートしそうだw。