乙女企画クロジ第六回公演 桜屋敷の三姫 シアターモリエール

面白かった。若手声優を取り入れての舞台という企画だが、声優も立派な役者なんだなあ、と改めて思わせてくれるクオリティだった。舞台というものはあまり良く分からないのだけれども、最初から最後まで充分楽しめた。
シナリオも好み。笑いと苦味と、そして少しの優しさを感じさせるダークファンタジー系。人里離れた山奥の屋敷の一室を舞台に、虚構と非現実を織り交ぜた物語がミステリアスに進む。物語に超常現象を積み上げていって、その決着を超常現象を超えた「何か」に求めるあたりがとても良い。
お目当ての清水愛は、ある意味この舞台の狂言回し的存在。やもすると物語を重くする業を背負った、若しくは業に取り込まれる人間たちばかりの中、それらから解放されている女の子で、出るだけで空気を軽くしなければならない役回り。これは、清水愛の初々しさ(演技としては充分上手いが、舞台役者としてこなれていない分初々しさを感じさせる)と、妹属性(主人公の妹役)の両方が活かされて、実に上手い配役だった。いや、初々しいといっても実に堂々とした演技で、その出来栄えに少し驚かされたくらいだったのだが。
声優も役者も、こうした努力の積み重ねで自分の創造世界を獲得していくのか、と改めて感心されられた。このような舞台が、今後の彼女の、声優活動の力になる事を期待したいものだ。