魔法世界の南北問題について

  • 北はどっち?

南北問題といっても、南北の勢力が争う事についてではない。ネギま!の魔法世界において、地図の上下どちらが南北か、という事についてだ。これは、最近コメントを貰っている件で、私は曖昧なままにしていたのだけれども、案外複雑な状況になっている事もあり、一応自分の為にも今更ながらまとめておきたい。
まず、連載上では地図は上が北のように表記されていた。189時間目の茶々丸のセリフと190時間目の地図を照らし合わせるとそう判断できる。北半球に住む私たちに違和感がない表記だ。
また、190時間目では「大陸の南」という表現があるが、この時点で「エリジウム大陸」がどこまでを指すのか不明だったので、指針にはならない。

  • 単行本時の修正

しかし、それが単行本21巻になると、189時間目の茶々丸のセリフが修正されている。下が北になったのだ。さらに、22巻においては、エリジウム大陸が北に(下に)広がっている部分だけのように表記されている。この事から、連載時から190時間目のセリフは正しく、連載189時間目時点のみのセリフ誤りだったという事が推測される。
また、他にも194時間目には下に有るのに「南の港町グラニクス」というセリフがある。これは連載時も単行本も同じだ。普通は「自分達より」南として言うはずなのに、「この大陸の」南と取ることが出来るからだろうが、少し苦しい。この時も、一度誤り、それを解釈次第で間違いではないと判断してセリフが残ってしまったと考えるのが自然だ。
さらに言うと、単行本21巻が既に出ている(南北が修正されている)203時間目において、雑誌のあおり文句(単行本には残らない)で、「ネギの北方の夕映」という表記もある。夕映のいるアリアドネーは、修正からすると南のはずだ。この頃は編集者の方でも南北逆が徹底していなかったと言う事が分かる。
ここまでを見ると、連載時では上が北、単行本では修正が入り下が北という事になる。しかし、207時間目において、連載時でもやっとこの修正が追いついてくる。茶々丸のセリフと地図では明らかに下が北になっているのだ。
この事から、今後は連載時も単行本も、下が北、上が南と考えるべきなのだろう。

  • 修正しなければならない理由は?

ところで、なぜこうも混乱するような修正が入ったのだろうか。
作り手の立場から考えると、おそらくこの地図が火星の地図を使っているからだろう。魔法世界の地形が火星の地形を南北逆にしたものと酷似しているのはご承知のとおり。
ただ、それだけならばこのような修正を入れる必要は無い。地図を参考に使うだけならば、南北にこだわる必要は無いからだ。では何故こだわるのかといえば、やはりそれは、逆説的だが「魔法世界が火星だから」と考えるのが自然だろう。魔法世界を火星とすると、南北が逆のままでは矛盾してしまうから、間違いとして修正する必要が出来てしまったと考えられる。つまり、この修正は魔法世界=火星説を補強してしまっていると言えるだろう。
因みに、火星においても当然北とは北極星のある方角を指す。磁石が指す北=磁北は、火星において磁場自体が存在しないので意味が無い。

  • そもそも何で逆なのか

ついでに、物語的にも考えてみる。なぜ、茶々丸は地図を南北逆に表示したのか。
この地図は、元々茶々丸がこう表示した事から、北半球に住む私たちにとって違和感のある表示になっている。彼女自身元々北半球に住む者なのだから南北を逆にする必要は無いのではないか。
これについては、魔法世界人の心理が影響していると考えられる。彼女が手に入れたこの地図はメガロメセンブリアでダウンロードしたものらしい。メガロメセンブリアは南半球に属する。更には古い都市オスティアも南半球に属している。魔法世界の文化は大半が古くから南半球に属していたと考えて良いだろう。その場合、南を上にした地図が主流になる可能性は高い。
茶々丸ガイノイドとして習慣に捉われる事が少ないと思われる。そんな彼女が地図を手に入れて使う際、南北に普段の上下感覚を感じることなく使用したとしても、それほど不思議な事では無いだろう。
<後日削除あり>
何にしても、今後魔法世界の歴史を考えるにあたって、地図の南北問題、古き民、新しき民の問題は大きく係わってくる可能性がある。しっかりと認識していく必要があるだろう。