NANA MIZUKI LIVE FIGHTER 2008 〜BLUE SIDE〜 国立代々木競技場第一体育館

ライブを継続してやっていると、興行者側もその「意味性」を色々と考えるものなのだろう。今回は、先に大規模なツアーをしているし、新アルバムもその時に出しているしと、ある意味フックとなる事があまり無い。その分、お楽しみの要素を如何に盛り込むかという事が眼目となってくる訳だ。
水樹奈々の曲目を見てみると、確かに最近二つの方向性に向かっているように思える。一つはパワーゲートに始まる、爽やかな応援歌系のもの。もう一つはエタブレに代表される、世界と相対する激しく壮大な楽曲。もちろん、その他にも聴かせるバラード系とかもあるが、聞いた後で大きく高揚するような、言わばアルバムの代表曲になる物は、このどちらかに分かれるだろう。
応援歌系のものは、ある意味爽やかアイドルにはよくある曲調。そして、壮大な曲は、アニメの様に特異な世界観の中で生み出されるものであり、その壮大さゆえに、様になるように歌うのはなかなか難しい。そのどちらも魅力的に歌う事が出来る水樹奈々は、さすがと言う他無いだろう。
で、今回はブルーサイド。つまり爽やかな楽曲を集めた構成にし、水樹奈々の魅力の一側面を強調しようという事なのだろう。
私的な事を言うと、実は水樹奈々の曲に強く惹かれているのは、この「ブルーサイド」ではなく「レッドサイド」。やはりアニオタとしては、例え中二病と言われようとむやみに壮大な曲に惹かれるわけで、そういう曲を歌い始めた頃からより深く水樹奈々にはまったものだ。
とは言え、それだけが好きな訳ではない。水樹奈々が元々持っているその歌声は、爽やかな楽曲を歌う時にこそその良さが一番発揮されているようにも思うし、彼女のキャラクター性もその部分に拠る所が大きい。つまり、水樹奈々らしいライブとして考えるならば、このブルーサイドこそそれに当たるだろう。
また、ある程度構成も考えられていて、新アルバムの楽曲はしっかりそろえているし、爽やかなだけでなく激しい楽曲も含まれていた。(「Pray」なんかは、絶対レッドだと思うのに)また、昔の楽曲も演奏されたりしてお得感もあったり。
なにより、水樹奈々自身が、観客との一体感を感じたりして、とても気持ちよく歌っている様なのが、こちらとしても一番嬉しい。大いに堪能したライブだった。
こういう企画はなかなか嬉しい。機会があったら、バラード編(ホワイトサイド?)とか、アニソン編(イエローサイド?)とかやって欲しい。

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