TVアニメ「紅」DVD発売記念イベント「五月雨荘出張版! 松尾衡とゆかいな仲間たち」 ロフトプラスワン

松尾衡は後二日で40歳になるとの事で、いきなりお誕生日のお祝いに。なんだか同じ事が一昨日同じ場所であったような。w
第1部は制作スタッフ。第2部は声優、第3部はプロデューサーをゲストに交えてのアニメ版紅のトークショー。と、いうものの、内容的にはどのパートでもほぼ同じ、監督松尾衡の熱いメッセージで占められていた。
映像作家として当たり前の事がしたい。それが監督の考え。今のアニメ業界ではそれが出来ていない、と監督は嘆く。プレスコも、その「当たり前」の一つ。声優の演技を生かすならば、プレスコはやるべきだし、プレスコによって削減される手間もある。それが受け入れられないのは、単に職人芸によって積み重ねられてきた慣習があるからであって、一部の職人芸に頼る現在の業界では、プレスコの方が進行しやすい部分もあるらしい。もし、監督の弁が正しいのであれば、アニメの制作方法は今後プレスコに移行して行ってもよいはずだろう。やはり、アニメにとって声優という存在は大きいし、その演技がより生かせる制作方法は魅力的だ。それにデジタルに移行してアニメ制作方法が大きく変化しているといわれる昨今、監督の提案は実に説得力がある。
プレスコに限らず、監督は自ら手をかけるべき点についてはとことんこだわりぬいたという。例えばBGMについても、奄美の作曲家の所に自ら出向き、その演奏にまで注文をつけたとか。声優のコーナーでも、声優一人ひとりに詳細なコメントをつけて紹介していた。プレスコ真田アサミが舞台で声優とは別の生き生きした演技をしていたのをみて「悔しい」と思ったのがきっかけだとか、沢城みゆきの演技に対する情熱には大いに助けられたとか。
私のようにだらけたアニオタにとっては、このように手の込んだ作りの作品も、受け狙いで手抜きの作品も同じ様に楽しんでしまうものだが、それでも、このような作品だけが持つ、心地よさのようなものは充分理解できる。それはアニメ映像が根本に持つ魅力の様なものだろう。これに出会えなければ、何時かはアニメそのものに飽いてしまうかもしれない。アニメ制作精神の根底を支えるという意味でも、松尾衡のような監督には頑張って欲しいものだ。

紅 1 [DVD]

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