秋だ、一番!ゆかりちゃん祭り!! JCBホール

田村ゆかり恐るべし。毎度の事ながら、彼女には感心させられる。
今回のライブは、少しイベントちっく。MCにミッシーを入れ、メインは人気投票によるベスト10の楽曲を歌う。その他、激しめの曲を最初に3曲、キャラソンを1曲、そしてアコースティックも3曲。終わってみれば計17曲で、充分ライブといってよいボリュームに。それに他の趣向のベストテンの紹介とかでトークを混ぜて、気が付いたら実に3時間、ライブとしてもトークとしても楽しめる、なんとも言いようの無い楽しい時間だった。
田村ゆかりトークは、決して本心を明かさないという所に最大の魅力があると思う。彼女が「真面目に話すね」とかの前振りを言った事など、ほとんど思いつかない。本心を隠し続け、逃げ続けているからこそ、まるで猫の様な魅力が出てくる。隠す態度の中にも本心らしきものをチラつかせ、こちらに本心を見つけ出したような錯覚を与えるからだ。
今回、あえてその姫様の戦略wに乗って、このライブにおける彼女の本心を探って見ると、いろいろと面白い。今回の構成は、トークで水増しした方が幾分楽だからではないかとか、定番曲の客の反応を確認したかったからではないかとか。実際の所、ツアー全体で歌った曲目は結構多いから別段楽でも無いだろうし、客の反応など今更確認しなくても充分承知しているだろうが。
ただ、一つだけ気になった事がある。今回のライブ、全体的に姫様ははしゃいでいたように思うのだが、特に子供のようにはしゃいでいたのが、アコースティックコーナーの前後。そこに姫様の真意を妄想してしまう。このコーナー、まるで自分から雰囲気を壊すような言動をしていたけれども、実は一番姫様がやりたかったコーナーではないだろうか。引いては、今回のこの構成自体、実はアコースティックコーナーをやりたいが為の変則的なものだったのではないだろうか。
実を言うと、以前から田村ゆかり自身の音楽的趣向は、もっとバラード系にあるのでは無いか、と思っている。下手をしたら、自分のバラードを人に聞かせるのが目的で声優をやっている、というくらいに。まあ、それは妄想が過ぎるだろうが、少なくとも姫様が歌を歌う時、バラード系が一番はまっているというのは、誰もが感じる事では無いだろうか。
ともあれ、今回だけで姫様の色々な魅力を見ることが出来た。次には、それらの魅力をより深めた、例えばバラードオンリーのライブとかを期待したいものだ。