ストライクウィッチーズ オフィシャルファンブック

外に出る事が出来ず、楽しみにしていた本をアマゾンで手に入れてしまった。なんか、通販で本買うのって抵抗があるんだよなあ。ちゃんと、本屋で買わないと、手に入れた気がしない感じで。けれども、そんなこと言ってると店頭から消えそうなので、仕方ないか。
それにしても、なんだか異様に出来が良くって驚く。設定やストーリーダイジェスト、版権物などの定番がのってしているのは当然として、声優の取りおろし写真やショートストーリーなどもあり、また作り手のインタビューなどもかなり力入っている。値段高いかなと思ったけれども、これならば充分にその価値有る。
特に、この作品が「成功した」という前提にのっとって、その成功の「理由」を作り手達のインタビューに求めている辺りがなかなか良い。「こうすれば良いはずだ」という理想の裏に「監督が全くの新人」とか「スケジュール無い」とかの危険を孕みながらも、その理想を選択して行った様子がよくわかる。
それにしても、高村監督の「作品はキャラクター」という姿勢は潔い。今のご時勢、まずはそこに力を入れて作品を作っていかないと、「売れる作品」が出来ないのは明白な事。消費スピードの速い視聴者を相手に、この切れの時間で、予算も限られた中で作らなければならないのだろうから。テーマとかドラマをやるには、このキャラクターで客を引き付けてからでないとなかなか芽が出てこない。いっそ、それらは視聴者の想像力に任せてしまうくらいが、今風の作品として良いのかも。
そして、あの愛らしいキャラクター達を作る為に、相当深い掘り下げ作業をしたようだ。そうやって作りこまれているキャラクター達が、視聴者の人気を得て、作品世界の中で一人歩きをしていく。そうすれば、イヤでもドラマが生まれてくるというものだ。
しかし、実際には「作品はキャラクター」というのは一面を捉えた言葉でしか無いだろう。「ストライクウィッチーズ」という作品も、キャラクターの魅力を引き出すことには成功したものの、それが真の意味で生かされきれているとは思えない。
彼女達は成り行きで「部隊としての」戦いを全うした。しかし、それは彼女達のドラマとして本当の決着だったとは思えない。敵ネウロイによって奪われた過去を取り戻すべき者もいる。敵を討ち滅ぼすまで戦おうとする者もいるだろう。主人公藤宮に至っては、その敵ネウロイの謎を解き明かし、地球にとっての「真の平和」を探すべき宿命を背負っているようだ。それらの「ドラマ」や「テーマ」を描こうとすれば、どうしたって「作品はキャラクター」とだけ言っていられない場面も出てくるだろう。
しかし、それは是非挑戦してもらいたいところだ。キャラクターが真に生かされるのは、その様なドラマの中なのだから。
これだけ成功したのだから次回作は作られる事になるだろう。その時のお手並みに期待したいものだ。