平野綾2nd LIVE TOUR 2009『スピード☆スターツアーズ』 横浜BLITZ

平野綾を最初に見たのは、イベント巡りをし始めた最初の頃。つまりもう7年も前。これがどういう事かというと、彼女の事を子供の頃から知っているという事になる。こうなってくると、なんというか、流石に彼女に関する気持ちは「父」の気持ちにかなり近いw。
平野綾については、過去にかなり強烈な印象がある。
時は平成18年3月。ちょうど「ハルヒ」が放映される少し前の事だ。大阪で行われたデビューシングルの発売イベントに、本当に偶然、立ち会った。(何故、大阪なのに偶然なのかは、その日の日記(2006.3.12)に書いてあるw)
その時の彼女の表情は、とても印象的だった。今でも思い返すことが出来る。
まだ、知名度が無い。いや、声優デビューしてかなり経ち、様々な展開もして、それなりに名前は売れた上で満を持してのデビューだったはずだ。それなのに、人が集まっていない。
その頃までに彼女のスペックは大体知っていた。演技も歌もダンスも平均以上。ルックスに至ってはトップクラスと言って良い。若くて、正にアイドルとして輝いていた。しかし、それでも人気が出ない。それは、なんとなく理解出来た。その理由が判っていた。彼女は「場違い」なのだ。声優に興味を持つマニアはごく少数。しかし、その少数の声優マニアが求めている声優アイドル像と平野綾は、全く違う。声優マニアは心に安らぎを与えてくれる存在を求める。何よりトークが上手く、オタクとの接点を提供してくれる隙を担保してくれる存在。それが求められる声優アイドル像だった。平野綾のように若くて輝きまくっている存在は、逆に眩し過ぎて近しい存在と感じる事が出来ないだろう。もし、彼女に人気が出る時があるとすれば、それはきっと、彼女を知るのが声優マニアだけでなく・・・。
そんな、正に激しいエネルギーが弾ける寸前の存在としての平野綾。どうしても裁き切れないブロマイドを前に、にこやかに挨拶をしながらも、しかしどこか不安と焦りを感じさせた。
その後の展開は承知の通り。あの時の彼女の様子を思い返しては、その成功を我が事のように喜びたくなるというものだ。
昨今では旧式な「所謂声優マニア」である私としては、先に書いたとおり心情的には平野綾のファンとは到底言えない。けれども、彼女の活躍の行く末を見守りたいという想いは強い。きっと、今後も活動は付かず離れず見ていく事になるのだろう。
で、今回の彼女のツアーだが、そのパフォーマンスは、以前よりも更に磨きがかかっていた。ある意味、安定感が出てきている。アコースティックコーナーも挟み、存在としての演出にも幅が出てきている。素晴らしい努力の成果だと思う。
ただ、私見だが、彼女には何かが足りない。少なくとも私には、彼女の歌がどうしても魅力的に響かない。平野綾の声は、キリキリにチューニングしきった声だ。その余裕の無い声が奏でる歌声が、どうしても豊かに心を揺さぶらない。これは私の趣味の問題だろうか。もし万人にそう感じさせるのであれば、どうにか突破口を見つけて、より上を目指して欲しいと思う。平野綾がここまで来るのには、それこそ想像だに出来ない努力の賜物であろうと思うので、なんとも厳しい事を言っているとは思うのだけれども。

スピード☆スター(初回限定盤)(DVD付)

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