乙女企画クロジ第9回公演「エ ン ガ ワ ノ ク ラ ゲ」初日 SPACE107

乙女企画クロジは、声優の本格的な芝居舞台が見られる企画という、かなり貴重なもの。声優といっても普段から演技の練習とかしているのだろうから、これだけ声優を生で見る事が求められている時代であるのならば、このような企画は大いに「有り」だろう。
それに、何と言っても能登麻美子が主演。これはやはり大きい。彼女はイベント的にも「高値」という印象があるが、そんな人が出ずっぱりというだけで相当貴重な感じがする。
さらに、共演として門脇舞以も出るという。能登と門脇、予てからこの二人は二人ともどこか浮世離れしている、存在自体が不可思議な印象があり、特に何か無くても出来るだけ生で見たいと思える人たちなのだが、その二人が共演するというのだから、もう絶対的に参加すべきと考えていた。
で、舞台の内容なのだが、なんとこの二人が同一人物(能登の回想の少女役が門脇)という配役。なんという神キャスティング、と膝を叩いてしまうw。
ストーリー的には、どこか浮世離れした、しかし淑やかな女性が、実はとても深い業に捕らわれている事が顕わになるという話。それまで、少しギクシャクした人間関係の中でただ一人穏やかにしている役であったのが、最後の最後で一変、悲しくも恐ろしい業を見せつける。その最後のシーンが正に話の見せ所、つまり主役能登麻美子の見せ所なのだけれども、それがもう、凄い迫力だった。
門脇の方の少女は、少し子悪魔的というかヰタ・セクスアリスな要素の役で、結構セクシー。ドキドキしてしまった。それに、どう見ても少女にしか見えないのが彼女の凄い所。正に適役だ。
少し人間の弱さを抉りすぎるきらいはあるもの、基本的には人間の強さを信じる話、と言ったところなのだろうか。とにもかくにも、二人のヒロインがはまり役で、それだけで充分満足させてもらった。
あと、もうお馴染みとなった二人の企画者、福圓美里、松崎亜希子もいつもどおりの安定した演技をしていて、それだけで安心してみていられる。この企画も9回目となると、座長としての貫禄も相当付いているのでは無いだろうか。素晴らしかった。
次回は10企画目。是非、飛びっきりの企画を考えて欲しいものだ。