魔法先生ネギま! 290時間目 フェイトの決意

いや、今回はなかなか面白いなあ。月詠さんグッジョブ。
ネギまが、バトル漫画として物足りない部分として、敵が魅力的でないこと、というのが挙げられるかもしれない。敵の存在が希薄で、いるかいないのかも分らない。例えば「始まりの魔法使い」なんかは正にそう。どうも敵の総大将らしいのに、その彼に人格がある事が分かったのすらつい最近だ。いや、今もその人格が維持されているのかは不明だし、結局その存在が謎過ぎて、まるで雲と戦っている感じがする。
フェイトにしても、実際にはそんな状況がずっと続いていた。ネギにとってあまりに高すぎる障害であり、彼と戦うこと自体想像できない。まるで、自然災害を避けるような戦いにしかならないのだから、あまりワクワクしない。
しかし、そんな中でもネギはフェイトに強いライバル心を持ち、フェイトも少しずつネギを意識し始めてきた。それによって、ネギのバトルそのものに意味が生まれ、徐々に面白くなってきていた。
そんな二人のバトルが、今回の描写で本当の意味での「バトル」になったと言えるだろう。つまり両者が対等になったという事。人形として作られたために感情をみせる事がなかったフェイトが、月詠の熱いラブコールによってその本心を曝け出す。
何も無い心に、ネギとの「戦い」という意味を持つことで人になりつつあるフェイト。
あまりにも深い心の傷を持つことで、その感情をフェイトとの「戦い」に向ける事で人で無くなりつつあるネギ。
二人は、まるで合わせ鏡のような存在だ。その二人の対決を想像するだけでも、とてもワクワクする。
そして、そんな二人の関係を明確にしたという意味でも、月詠は凄いいい働きをしたと言えるだろう。ネギ側の名優がラカンだったとすれば、フェイト側の名女優と言ったところw。最初出てきたと気は使い捨てキャラだと思っていたのに、ずいぶん良いキャラになったものだ。
それにしても斬魔剣弐の太刀は本当にチートな技だ。魔法素通りじゃ、明日菜の無効化には及ばなくとも、充分魔法使いの天敵といえる。あのゲーデルが、その技をもってラカンに匹敵する実力をつけたネギと対抗できたのも肯ける。神鳴流剣士は魔法使いがどんなに強くても対抗する術をもつ存在ということなのだろう。
フェイトが揺れる存在になった今、自身の欲望によってのみ行動する月詠は、その実力からしても、ある意味最も制御の利かない危険で面白いキャラと言えるだろう。魔法世界編が終っても次の展開で敵として活躍し続けるのかもしれない。髪も切ったし、どんどん成長していって欲しいギャラだ。
そして、フェイトは物思いに耽る。彼の様子からして、やはり彼の計画にはあまり好ましくない部分が含まれているのだろう。彼がネギとの戦いの果てにどのような決着をつけるのか、俄然興味が出てきた。やはり、敵に対してもそう思える方が、バトルは楽しいものだ。