魔法先生ネギま! 306時間目 倒すか? 飲まれるか!?

まず、栞がどうなるのか考えてみよう。
赤松漫画の場合、基本、人は死なない。だからこの場合、普通に考えれば、ギリギリでネギが我に返って献身的な行為をした栞は助かって、めでたしめでたし、という事になる。
しかし、一方で、栞には「死ななくてはいけない理由」が存在する。というのも、栞は正ヒロインである所の明日菜のコピーとして存在しているから。その明日菜とはこの後合流し、二人の明日菜がそろう事になる。それは、物語の構成上あまり好ましい事ではない。今は、正ヒロインの存在が、コピーを必要とするほどに求められている状況ではあるが、それが二つになってしまうと、逆に真がぶれてしまう。それはヒロインの魅力を損ねる要素になる。出来れば、複製には勇退していただいた方が望ましいというのが実情だろう。
なので、綺麗な話の流れとしては、ネギがギリギリで我に返るものの栞は瀕死の傷を負い、ネギと仲間達に自身の裏切り行為を共に謝りながら死ぬ、というのが望ましい。(←非道い)
そして、ネギま!では人が死なないという原則については、彼女は元々魔法世界人なので、実質的には「消える」という事となり、おそらく復活が可能という救済が付くので問題ないという事になるだろう。
まあ、本当にそうなるのかは来週までのお楽しみだが。
ネギの暴走については、後数回という時限装置とされていたが、この暴走によって「次は無い」という最終宣告に移行するだろう。そういう意味では、今回の暴走は、フェイトとの戦いの前に「無くてはならない」暴走だったという事になる。二人の真剣勝負が、ネギの暴走によって水を差されるという事を防ぐ為にも。
ほんと、赤松健は物語を整理して進めるのが上手いなあ。
なんにしても、栞の捨て身の行動については、迂闊にも涙ぐみそうになってしまった。
フェイトガールズ達は、自身の命をいつでも捨てる覚悟で行動している。それほどまでに純真に世界の事を思って行動している。その中の一人が、自身の役目を終えてフラットな目でネギを見たとき、つい惚れてしまう。その心の内には、ネギの救世主としての可能性への期待も含まれているだろう。そんな栞が、闇に落ちようとしているネギを命を賭けてでも止める。つまり、今回の彼女の行動は、世界を救う為の献身でもある訳だ。
また、彼女には様々な負い目もある。仲間を裏切り、ネギ達を懐近くまで導いたのも彼女だ。逆に、彼女は普段は明日菜という仮の姿を借りて行動している。それは実在する明日菜への大いなる負い目でもあるだろう。栞という存在は、おそらく「自身を認めきれない」性格を持っているとも推測出来る。
そんな、負い目をもった、いわば「存在の希薄な」彼女が、ネギパーティの最も近くで、フリーで亜子ドーピングによってすばやく動ける状態に、つまり世界を救える立場にあり、その心の内には世界を救う強い意志が宿っている。
まるで、神もしくは悪魔の采配の様に彼女はこのような行動をすべく、この場所に居たと言えるだろう。
あまりに出来すぎで、もしそれが現実のものになってしまうかもと考えると、なんとも遣る瀬無い気持ちになってしまう。
ついでに言うと、栞自身の姿に戻ったのは、ネギの手で仮にも明日菜の姿を殺させないため、逆に言うと、自分の姿ならば殺されてもよいと思っていると考えられる。
来週はどうなるのかなあ。