ネギま世界の時間の流れ 本題

とまあ、時間の流れについて、上記のような推測が出来るのだが、実は問題にしたいのはこの事ではない。
「世界観の繋がりが絶たれると両世界の時間の流れに差が生じる」という事、これ自体に大きな謎がある。魔法だから、どんな事でもありえそうだとは思うが、それにしてもこの現象はかなり奇妙だ。
時間の流れに違いがあるとはどういう事か。物理的存在として全く違うからこそ、時間の流れの差が生じる。相対性理論的に言うと、例えば超高速で加速していると時間の流れが遅くなる。超高速で動いているか居ないか、くらいの違いがある。
二つの世界に時間の流れの差があるとするのはよい。魔法的世界として、その存在自体が異質なのだから、時間の流れが違うくらいはありえるだろう。しかし、その流れの差が、現実世界とのつながりによって、有ったりなかったりするのは変だ。現実世界と繋がる事によって、魔法世界の存在そのものが変化してしまう、という事になる。それは、光速に近い動きをしていたものが一瞬で止まるくらいの変化が、魔法世界全体に生じるということ。ちょっと考え辛い。
魔法世界自体がまったくの仮想現実であり、PCの架空プログラムの様に完全に実体が無いなら問題無いという可能性も考えた。しかし、かの地は現実世界を依代にしている半実体世界であり、だからこそ現実世界人も実体をもって入りこめているという事が、魔法世界が消えかかって火星の表面が現れた事によって証明されている。世界自体全体が変化するという事は、どう考えてもおかしいのだ。
そして一つ推測が生まれる。二つの世界が違う時間の流れを持ち、両者の関係がゲートのつながりによって変わってくるのだとすれば、その「ゲート自体に」秘密があるのでは無いか。つまり、そのゲートこそが魔法世界と現実世界の時間の流れを調整している、一種のタイムマシンなのではないか。
魔法世界へのゲートは、地球と火星を繋ぐ距離を縮めるための装置である。現実世界と人造世界とを繋ぐ装置でもある。さらに時間の流れを変えることが出来る装置であればどうだろうか。
なぜ二つの世界の接続如何によって時間の差が生じる様になっているのか、その理由は不明だが、ゲート自体がタイムマシンであるという事にすれば、「世界全体の時間の流れが変わる」という非常識な設定の説明は付くだろう。
そして、この推測が正しいとすると、今ネギ達がテラフォーミングしようとしている火星の現在の時間が、ゲートを通じて繋がっている魔法世界の現在の時間と同じ「時」であることは、ありえない。今までにも時間の流れの変化が2千年単位で起きているので、今この時点だけ偶然一致しているはずが無い。それ以前に、ゲートにタイムマシン機能が付いているのであれば、魔法世界が創造された時の火星の時間が、2600年前、もしくは600年前である事すら疑問視しなければならないだろう。
この事について、一つ傍証がある。茶々丸アーティファクトは、なぜ超製の未来の兵器だったのか。超があのような兵器をかの計画の時に残していったとは思えない。タイムマシンを使った上で、アーティファクトのみをパクティー協会のプログラムに割り込ませたというのも無理があるだろう。だとすれば、ゲートで繋がった魔法世界の依代である現実の火星が、超の居る未来より先にあるからこそ、その時空に存在しているアイテムをアーティファクトとした、という事は考えられないだろうか。
そう考えると、さらに飛躍した推測(ここまで来ると夢想だが)が考えられる。今の魔法世界が遠未来だとすれば、魔法世界が火星に存在している理由の糸口になりえる。
ネギの進めるテラフォーミングが火星で行われた事によって、つまり火星を開拓した事によって、火星に魔力発生の源を発見したとすればどうだろう。火星が魔力で充たされ、だからこそ魔法世界が誕生した。そして、運命の命じるままに600年前の現実世界にゲートを繋げ、魔法使いを受け入れた。そこから600年の未来こそが現在であり、そして魔法世界の現在は火星としては600年先の未来だったりして。超の居る未来が100年先だとすると、茶々丸アーティファクトは500年前のものだとか。
このような設定だと、タマゴが先か鶏が先か、つまりタイムパラドックスが生じているのだが、実際にネギまの世界では、あの麻帆良祭の時に情報の円環が生じていて、そのような関係性が成立する世界と設定されているので、矛盾にはならない。
ただ、どう考えても、ネギの計画が魔法世界の為にならない事は確か。この夢想は的外れだろうと信じたい。今回挙げたこれら大きな謎については、何か別の設定の追加等によって説明される事を期待せざるを得ない。