[イベント][アニメ][映画]『虹色ほたる〜永遠の夏休み〜』初日舞台挨拶 新宿バルト9

まあ、能登麻美子の声が聞けるというので。
それに、アニメ映画って一種のイベントものだから、よっぽどの事がないと見に行く機会を作りづらいので、他の声優イベントでてんてこ舞い(^^;)の自分などは、こんな機会でも無いとつい見逃してしまう。気が付いたらテレビ放映まで待つ羽目になったりするので、良い機会に見る事ができた。
メインである子役陣は全て役者として活躍しているらしく、客あしらいもしっかりしたものだったw。その「大人の」対応に、本当の大人の声優陣が、少し気おされている感じが面白い。ただ、そんな中で、能登麻美子はいつもどおりのブレ無いコメントをしていたが。「癒しのカリスマ」として評価されるうちに、本当にいつかそんな「人ならざる境地」に辿り着いてしまいそうだなあ(^^)。ほんと、見ているだけで癒される人だ。
ついでにアニメの評価も。
一言で言うと、内容と作画が良い。ただ、それ以上にはなっていない。素材が良いだけに、見ていて色々と言いたくなってしまう作品だ。
この作品の「本筋」は何か。おそらくそこに、作り手の理解が行っていない。
この作品は、タイムスリップものであり、昭和の田舎の夏休みを現代っ子が堪能するというのが物語の大部分を占める。なので、作り手は「そこだけがキモ」と勘違いしたのかそこのみクローズアップして、それ以外の部分は「出来るだけ分かりやすく」描いている。・・・なので、実に淡々とした印象しか残らない。
しかし、実は、この物語の本筋はラブストーリーだ。おそらく、観客がその事に気付く事ができるのは、物語の終盤になってからだろう。もしくは、それに気付かずに見終えてしまうかもしれない。なんといっても、プロモーションの中ですらその気配が見られないのだから。・・・信じられない。
この物語は特別な時間の流れに巻き込まれた男の子と女の子が出会い別れて、また会うまでのラブストーリーだ。それこそが本筋だろう。
確かに、田舎の夏休み暮らしは魅力的だ。しかし、それはそのラブストーリーをより魅力的に彩る舞台として描くべきだ。
また、二人を出会わせ、仲を引き裂く事になる「時間の流れ」も、こんなに淡々と描くべきではない。
二人の関係性がいかに特別であるかを演出する大事な設定なのだから、もっと劇的に、勿体つけて描くべきだ。そうすれば、特にヒロインの女の子など、これより数倍魅力的に描けただろうに。ほぼ最後まで特別なヒロインである事すら気付けないかもしれない描かれ方で、実に勿体無かった。
そうやって物語の本筋を鮮明に描いていれば、作り手が実は見せたかった「昔の日本の風景」なども、より魅力的に描けるというのに。そういった演出の妙そのものを理解していない。
作画に関しては、物語の雰囲気にマッチしていてなかなかよかった。なので、物語の構成と演出、それさえよければと思えてならない。つまり、残念ながらほぼ監督の責任と言える。調べてみると、劇場版ワンピースとか作っている人か、と残念な方向に納得してしまったり。
やはり、アニメ映画って難しいものだ。

虹色ほたる―永遠の夏休み

虹色ほたる―永遠の夏休み