「夏色キセキ」フェスティバル 東京国際フォーラム ホールA

最近より思い入れが強くなりつつあるスフィアのイベント。
この「夏色キセキ」は正に声優ユニットであるスフィアのために作られたといってよいアニメであり、そのコンセプトは有る意味前代未聞とも言える。それだけに、この作品にかける声優サイドの意気込みはそれ相応のモノであったはず。
しかし、それとアニメの出来が良くなるかは別。クリエーターにはもっと別のモチベーションがあるはずで、「声優を売る」という事に重きが置かれるべき作品に、上手く創作エネルギーが集約できるかと言うと、必ずしもそうでは無いだろう。だから、第1話を見て、そこに良い部分がほぼ見出せなかったとき、「当然だろうなあ」と思ったものだ。
しかし、それでもクリエーターの能力というのはさすがで、序盤作品世界への入りがチグハグであったのを過ぎると、作品として徐々に持ち直していたように思う。結果的には、整理されていないところが多々あるけれども、女の子の青春群像を楽しむ事が出来る、結構面白い作品になっていた。少なくとも、個人的には充分楽しめた。
・・・なんだか、この私の感じたアニメの構成自体、どこかスフィアに似ている。とても膨大な力を持っているのに、最初はやり方がわからずチグハグ。その後も決してスマートには行かず、勿体無いところが多々ある。しかし、何か伝えたいという想いは本物だし、内容も詰まっているので、知らない内に応援したくなる・・・みたいなw。
アニメへの評価が長くなった。イベントの感想を。
そんなスフィアにとっての大切な作品のイベント、さすがに実に力の入っているイベントだった。言ってみれば、「美味しい所しかないイベント」だった。
4人のキャラクターに焦点をあてた、物語直後を扱ったミニドラマ、というか朗読が4人分。その間にキャラクターとして歌うキャラソン。これらは、つまりは完全にキャラになりきっているので、スフィアとして挨拶することも無い。途中、お楽しみとして、ミューコミプラスの出張版で、リスナーから募集した「スフィアにやらせたい事」でクイズやらコントやらを。ここで始めてスフィアとして挨拶したり。
そして勿論スフィアとしてOP、EDも披露。更に最後には、4人の1年後として短いながらも新作アニメが上映されたり。
すべてが、作品をより楽しむ為の趣向であり、手間もかかっている。スフィア自身の力に拠る所が大きいともいえるが、それでも手抜きが無い。これは「素晴らしいアニメイベント」と称して良いだろう。
個人的には、朗読の際の声優たちの生声に「中てられた」。もう、素晴らしい声の持ち主達ばかりだから、その生声に長時間曝されて、身も心も蕩けまくったw。特に、やはり戸松遥。彼女は凄いなあ。
作品に対する想い入れのある、内容も詰まった、良いイベントだった。