劇場アニメ『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』

原作は「持ってる」w。数年前に買っているのだけれども、現実をカリカチュアするような作品は、過去、筒井康隆とかでお腹一杯になってるので、どうにも受け付けなかったりする。
けれども、改めてアニメで見てみると、とても面白い。これが書かれたのは5年も前で、ロミオ自身、現実を描くつもりではなかった的な事を言っているけれども、「俺ガイル」が受け入れられているところとか、正に現実が追いつき始めている感じ。これを読んでいれば、確かに「中二病でも恋がしたい」なぞは、この「AURA」のパクリ、ファンタジー化にすぎないと評価されても仕方が無いだろう。
そして、この内容に現実が追いつき始めていると仮定すれば、なんだか奇妙な偶然を感じてしまう。というのも、正に昨日書いた記事「オタク期の終焉」とこの「現実」が、妙にリンクするので。
アニメを受け取る者の主流は、やはり中高生だろう。アニメの受け手の最前線は、正に学生生活の場にある。そんな「オタクの最前線」において、このような壮絶な「オタクの撤退戦」が行われているかもしれないと思えば、やはり「オタク期の終焉」を意識するのも、当然のことと思える。
世間は少子高齢化で困難な未来しか見えないのに、すぐ目の前の就職すら危ういらしいという、絶望的な若者搾取社会に生きている。やはり、現実は厳しくて、世に出ていくには、妄想に浸っているだけの「ドリームソルジャー」で居てはいけない。学業という曖昧なものしか持たない学生は、妄想などにうつつを抜かしていること自体が悪、と思っても仕方が無いだろう。
主人公側のドリームソルジャーの逃避も理解できるけれども、それを攻撃し苛める側の心理も、理解出来てしまう。
本当に、5年前に書かれているのに、現実的な感じがとてもする。
思い返せば、このAURAが書かれた5年前は、正にオタク文化の絶頂期であり、だからこそ衰退を意識し始めた時期でもあった。(この日記でも書いている)
本当に現実の空気をよく捉えて書かれた作品なんだよなあ、と改めて感心せざるを得ない。
ともあれ、花澤香菜の演じるヒロインはやはり魅力的だし、それだけでも見る価値のある作品だ。前売りチケットもう一枚持ってるし、もう一度見に行こう。

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)