「世界でいちばん強くなりたい!」プレミアイベント「“Sweet Diva”生歌初披露イベント」 科学技術館サイエンスホール

この作品については実はそれほど思い入れが無いのだけれども、声優の魅力に引き寄せられて参加してしまった。ある意味、迷い込んだヒール的な心持ちだったり。
なぜ、この作品に思い入れが無いのかというと、少し作品論的な事になるが、アイドルとプロレスは、その本質は全く別物にすべきという認識を持っているから。作品の根本が間違っているという認識がある。
努力して、苦労して、ファンの心を掴む。その一点で両者は同じ。実際にその現場にいるアイドルとレスラーの心根が似ているということもあるだろう。しかし、それをファンが認識すべきではない。なぜなら、両者の方向性は(表面上)全く逆だから。
アイドルは、より輝く方向に向かっていくもの。努力もステージ上の快楽の為にある。逆に、プロレスは、まずはリングの上で深く苦痛の中に沈まなければならない。プロレスでは技を受ける事、苦痛を味わう事が絶対条件だから。その先に輝く勝利があるのだとしても。
この両者が同じだとしたら、アイドルが舞台上で求めているモノ、レスラーがリング上で受け止めようと覚悟しているものが、嘘だと言うようなもの。それは少なくともフィクションの世界では有ってはいけない。玄人目線で両者は似たようなものだとする主張は、双方の幻想を壊すに等しい。つまり、物語として成立できないものだと思う。少なくとも、そういった聡いだけの目線でアイドルを見られない者として、この作品を受け入れる事は出来なかったりする。
とは言え、それとキャストの活躍は別。キャストトークと生歌では大いに楽しませてもらった。
お馴染み、かつ魅力的な竹達彩奈阿澄佳奈大坪由佳金元寿子の面々に加え、恐らく生では初めて見る鳴海杏子とか、新人の伊藤美来雨宮天とか気になるキャストが揃っている。鳴海杏子はいきなり生歌から登場のうえMCとして立ち回る。なんてしっかりした人なんだ。伊藤美来はStylipSである程度知っているけれども、雨宮天はこれもまたほぼ初めて。かなり落ち着いたこれまたしっかりした印象の人だった。
生アフレコでは各キャストが個性を出し合って会場を大いに沸かし、最後のSweet Divaライブも大いに盛り上がる。イベントとして実に満足のいくものだった。