凪のあすから 汐鹿生大宴会 ロフトプラスワン

しまった、この日の日記付け忘れてた。このイベントはかなりのボリュームだった。かなりぶっちゃけた話を沢山してくれたので、記憶を残すためにも日記付けときたかったのに、これだけ時間が経つと(この時点で1ヶ月過ぎてる)色々忘れてしまっている。
企画をいかにして通すかとか、欲しい人材をいかにして確保するかとか、スタッフのギャラはいつ払うかとか、結構シビアなことも語っていた。あ、けどこういう事は書いちゃダメかw。
イベントは女子が半分以上いる感じで、かなり驚く。デザインでも女性的なところも狙えるようにしてあるとか、女性が悦べそうな構図を相当検討したとかの話題も。基本的に恋愛模様だし、それも結構どろどろしてるし、考えてみれば女性に人気が出るのも当然と言えば当然か。爆発的に売れる作品の裏には女性が居るというけれども、この凪あすはどのくらい売れたのかな。
この作品に対しては、もちろん恋バナも面白いのだけれども、気にしていたのが物語の神話性。まず脚本とかの構成から評価したがる者なので。
なので、やはり面白いと感じ始めたのが2クール目から。もちろん、人間関係が複雑化して面白くなったのも2クール目からなんだけれども、この物語の根底にある面白さはやはり物語世界の神話性にあると思っていて、それが2ツール目から明確化したからこそ物語に力が生まれたのだと認識している。
この世界は滅び行く世界とされている。それが明らかに示され、現実に起こりうることされたのが1ツール最期のエピソードだった。
滅びゆく世界という設定自体が物語の神話性。古今ほとんどの神話において、神の御代は滅ぶことになる。滅びの世界はそこにいる者一人一人の行動が世界の滅びに、つまり世界に繋がっていくことになり、つまりは世界を動かす存在となる。世界を動かす存在とは言わば神。その世界が神たちの居る時代、つまり「神代」となる設定といえる。
何故、神話性について拘るかという前提を書き漏らしている気がするのでついでに書いておくと、神話とは世界そのものが動く物語であり、物語が「心の世界」を動かすものだとすれば、人の心に対して最も広く強くシンクロする力を持っている事になるから。例えれば、恋愛物語では人間関係だけ、政治物語では国際社会の関係だけ、宇宙SFでも科学的な宇宙「だけ」の物語だけれども、神話は物語を読む者の「世界そのもの」に影響する力を持つ。そういった力を形としてもつ物語かどうかというのが神話性ということ。
凪あすは少しファンタジックな要素が多いが、基本的にはSF的思考によって作られた作品と言えるだろう。過去の超科学文明が世界を作り変えていて、登場人物たちはその一部残ったテクノロジーに翻弄されていると捉えることが出来る。
そう言った点では、この作品は人類の未来を描いていということになるのだが、それだけでは神話性には届かない。
世界の滅びが示され、滅びの世界を救い得る生贄の少女の存在が示され、その少女を巡って、人間たちの足掻きが描かれる。滅びに向かう世界は、不思議な雪に侵食され世界の様相が徐々に変わっていく。しかし、そんな世界に抗い、生贄の少女を求める少年と、それを助ける少女。または留まり続ける少女に、見守り続ける少年。変化をもたらす少年に、翻弄される少女。世界の成り立ちと、少年少女の感情が生み出す様々な出来事が、全く並列に描かれていく。
物語の世界そのものが人の心とシンクロするものだとすれば、その心の内面全てを取り込むことが可能な構成とすることで、物語の神話性は高まっていく。凪のあすからという物語は、その神話性のかなり高い作品と言うことができるように思う。
作品論が長くなってしまった。(^^;)
ともあれ、イベントの方は作品作りについて非常に濃い話が展開していたのだけれども、作品の内容的には若干淡白なところもあった。そりゃ、脚本家とかがいないのだから当然と言える。監督から「世相に合わせて後退している世界を描いた」という趣旨の話が出てたくらいかな。2回目のやりたいとか言ってたし、その辺りは次に期待したいものだ。
また、ファンサービス的にも太っ腹なイベントだった。飲み食い注文するだけでコースターとかランチョンマットとか貰えるは、質問者にはプレゼントがあるは、抽選会でもとても貴重なものが沢山放出されるは…。
やはりこれは作品がとても売れたということだよね。ある意味「ファンも含めた公開打ち上げ、作品大成功の巻」といった感じのイベントだったのだろう。実に楽しかった。