「TVアニメ『迷家ーマヨイガー』クラウドファンディング」について考えてみる

https://www.makuake.com/project/mayoiga/
最近話題のクラウドファンディングを個人的にどう感じているか、書き置く。

  • 「資金集め」か「宣伝」か、はたまた「限定商品」か。

この「迷家」のクラウドファンディングは一応成立するだろう。目標金額が低く設定されているから。
その目標金額は3,330,000円。しかし、この金額では当然アニメは制作出来ない。アニメ制作、それもTVシリーズとなればこの100倍無いと駄目。勿論、ファンディングだけで全ての資金を集める訳では無いけど、あまりに低い設定だ。
この企画は、クラウドファンディング本来の目的である「資金集め」ではなく、「宣伝」に重きをおいた企画なのだと言う事が分かる。なので、ある程度話題になって、目標金額を達成して「皆が期待している」という名目が立てば、企画として成功なのだろう。
しかし、クラウドファンディングで資金の一割くらい集めた、くらいのと印象を与えないと、「無意味に高い商品を売っている」という感覚になってしまうのではないかと思える。単なる「限定商品の先行販売」にしかなってない。そして「限定商品の先行販売」としての成功は何かと考えると、制作コストのかかる商品が売れ残ってしまうのであれば、企画として失敗だと思う。
限定商品の販売であれば、その値段設定は普通の商品と比較して考えるべき。後に話題になった時にプレミアが付くと想定される程度の上乗せは有りだろうけれども。このプレミアは、スタッフ、キャスト、物語によって買い手側が判断する。

  • アニメ「迷家」企画の事前評価

実際に、この「迷家」の企画を見てファンがどう判断するかと言えば、スタッフ的には「超期待」だろう。何かやってくれそうな、外れは無さそうなスタッフが揃ってる。それだけでもこのクラウドファンディング企画を立ち上げた価値はある。
キャストも結構良い。というか、良くなる可能性を秘めたキャスティングなっている。今の人気はそこそこだけれども、これからブレイクしそうな人を敢えて揃えている感じがする。
そして、物語については、何とも言えない。内容的には「ひぐらし」とか「アナザー」とかを想起させる。所謂「閉鎖状況におけるサスペンス」だ。「ひぐらし」はヒットしたけれども、原作人気を後追いしたヒットであり、アニメ起点でこの手のサスペンス作品が盛り上がったという例はあまり見られない。ミステリーやサスペンスは知的快楽優先なので、事前に一定の期待が無いと、単に「重い物語」と思われがちだからだと思う。そういった印象を覆せるかどうかは、このスタッフにしても、判らない。
とは言え、物語がブラックボックスであるからこそ、スタッフ&キャストの魅力からも大きな可能性を秘めているとも言え、全体的にみて期待できる企画と言えるように思う。ある程度のプレミアが付くと考えても良いだろう。

  • コース設定はどうか

限定商品の販売であれば、その値段設定は普通の商品と比較して設定すべき。それに企画への期待感をプレミアとして上乗せする。
ラジオの視聴などデジタルコンテンツで構成された3kのブロンズ。これらは本来無料で配布されているケースが多い。それにプレミアを上乗せするとしても、やはり1k程度だろう。案の定伸びが悪い。元々棄て設定だろうし、もっと安くできないものか。
8kのシルバーの目玉はシナリオ台本とイベント視聴権、そしてクレジット入り。シナリオ台本は最大で3kくらい、イベントネット視聴も3kくらいか。クレジットも入るし、その他諸々と併せてなんとか見合う設定。やはりここに集中している。
その次はいきなり飛んで40kのゴールド。スタジオ見学とTシャツが追加。いや、Tシャツは本来3k程度だし、スタジオ見学に3万近く出す人は居ない。Tシャツ作成にはコストもかかるのだし、ここは売り切れを狙って16kくらいに抑えられなかったのだろうか。上と併せて入れてる人が少数の分、企画の足を引っ張りそう。Tシャツにプレミア付くだろうけど、見合わないだろうなあ。
プラチナになると本当のプレミアム商品と思える内容ではある。スタッフ声優参加のイベントと後のイベントの優先参加権。しかし、やはり高い。80k。スタッフ声優参加のイベントはロフトイベントを想定すればよいか。プレミア付く事を考えても10k程度。後のイベントについては、無料参加権なのか、良くある優先販売券なのかが判別つかない。5k×イベント開催回数程度? ゴールドからの上乗せとして40kはギリギリ妥当と言えるけれども、ゴールド自体が暴利だから、やはり難しい設定。
300kのセレクテッド30。この設定は「有り」だと思う。内容も妥当。一番金出している人だけが得られるものがあるということだけが重要。優越感こそがこのレベル最大の商品価値だ。ただ、その分、下のコースが過熱して無い事によって足を引っ張られている。もしプラチナが80人程度になったら、こちらも全て売れるのではないかと思える。

  • 雑感

話題集めは有るにしても、メインは「限定商品の先行販売」だとするのであれば、やはり値段設定に無理のあるコースが多いのが残念。クラウドファンディングとしてのむやみな欲を出さずに、受注商品を売り切ることを想定した値段設定にすればよかったのにと思う。もし全部売り切れたら目標の数倍になり、それこそ更なる話題になったろうし。
とはいえ、これは現時点での個人的な感想。今後の情報提示よって変わる事も有り得る。動向に注目したい。