清水愛の楽しみ方

始めて清水愛を気にしたのは2002年のTBSアニメフェスタ。「まほろまてぃく」と「ヒートガイJ」二つのステージに出ていた。そこで気に入ったのが、まほろでまるでみなわの様にどこかぼんやりした佇まいを見せ、Jではモニカの様にはきはきとした受け答えをしている事だった。ただ面白いのは、彼女は決してキャラを演じているのではない、ということ。何処と無くそのキャラに似ている、この声優がそのキャラを演じるのならお似合い、という声優像になっている。しかも、そこには「清水愛」という人格が確かにあり、ごく自然に性格の別の面が現れている、そんな印象だった。その後も清水愛を実に様々なキャラに係るステージで見たが、そのほとんどで同じ印象を受けた。
しかし、ここで疑問が生まれる。このような「性格の変化」を、これほど自然に、様々な形で表現し続ける事が可能なのだろうか。その疑問の回答の糸口が「彼女自身の」イベントだった。彼女自身をプロデュースするようなイベントになると、とたんに緊張し、見ているのが可哀想なぐらいになる。多分彼女は、何故だか自分自身にまるで自信が無いようだ。誇れるのは自分が演じているキャラのみ、自分自身はからっぽ、そう思っているかのような印象だ。自我を表に出さないのならば性格が自然に変化するもの当然だろう。しかし、声優も役者、役者は自己顕示欲も資質の一つ。その資質の元になる自分への自信が欠けているとすればかなり特異な存在と言える。
だが、自分を表に出さず、どのような状況でも自分の演じるキャラを最優先させるというスタンスの声優は、そのキャラを愛するものにとって、これほど望ましい存在は無い。清水愛はどの作品においてもイベント出演への要望が強く、声優界のイベントクイーンと言って良いくらいだろう。それは清水愛が、どのイベントでも、そのキャラのファンがそのキャラが好きという立場で幸福になれるよう、心を配っているからではないかと思う。
清水愛が出演するアニメが好きな者は、是非、清水愛をステージ上で見てもらいたい。