かしまし 第1話

BGMを一切使わない演出は、BGMになれた視聴者にかなりの負担を与える。そして、回想を織り交ぜた構成は、何が起こっているのか推理させるという事で緊張を強いる。これらの重圧を与える演出に耐える魅力を物語がもっているかがポイントといえるが、それは成功しているようだ。「なにが起こっているのか→主人公がふられた→なぜ、ふられたのか→どうすれば最初のシーンにつながるのか」と、重層的な構成から雪だるま式に謎を膨らませ、最後に突拍子も無い事件をぶつける。途中、程よい息抜きシーンを挟み、かなりうまく作り上げられている。物語の根幹は「おれがあいつで、あいつがおれで」=「転校生」だろう。思春期特有の性の不安定感を突飛な設定で浮き彫りにしている。これは、いつか終わりのくる青春におけるモラトリアムな時間の幕開けも意味している。単なる萌えアニメとしてだけではなく、上質な青春ドラマになることを期待したい。